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» 2015年11月24日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2015年版(32)島根:木質バイオマス発電が日本海沿岸へ、離島に太陽光と風力と蓄電池 (1/3)

島根県は2019年度までに再生可能エネルギーによる電力の自給率を30%に高める計画だ。森林資源を生かした木質バイオマス発電所が2カ所で運転を開始したのに伴って、県内の未利用木材を効率的に集約できる体制を整備する。太陽光と風力発電も増えて、CO2フリーの電力が離島まで広がる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 島根県の中部に位置する江津市(ごうつし)の工業団地の中に、西日本で最大級の木質バイオマス発電所が7月に運転を開始した。豊田通商グループのエネ・ビジョンが建設した「江津バイオマス発電所」である。50億円の総事業費をかけた一大プロジェクトで、発電能力は12.7MW(メガワット)に達する(図1)。

図1 「江津バイオマス発電所」の全景。出典:豊田通商

 年間の発電量は8600万kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算して2万4000世帯分にのぼり、江津市の総世帯数(1万1500世帯)の2倍を超える規模になる。発電した電力のうち10.8MW分を固定価格買取制度で中国電力や新電力に売電する計画だ。

 燃料には森林の間伐などで発生する未利用の木材や廃材をチップにして使うほか、不足分を海外から輸入するPKS(パームヤシ殻)で補う(図2)。年間に合計で11万5000トンにのぼる木質バイオマスを消費しながら電力を供給する。これまで用途のなかった木材の収集や運搬、さらに発電所の運営や管理で新たな雇用を創出することも可能になった。

図2 木質バイオマス発電の実施イメージ(画像をクリックすると拡大)。出典:エネ・ビジョン

 この発電所から東へ100キロメートル以上も離れた松江市の工業団地でも、6月に「松江バイオマス発電所」が運転を開始している(図3)。文具メーカーのナカバヤシがグループ企業を通じて自社工場の隣接地に建設した。発電能力は6.25MWで、江津市の発電所の約半分である。

図3 「松江バイオマス発電所」の全景(上)、発電設備(下)。出典:ナカバヤシ、松江バイオマス発電

 年間の発電量は4300万kWhを見込んでいて、1万2000世帯分の電力使用量に匹敵する。江津バイオマスと合わせると3万6000世帯分になり、島根県全体の総世帯数(27万8000世帯)の13%をカバーすることができる。わずか2カ月間で木質バイオマスによる電力の自給率が一気に高まった。

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