月間180kWh超の家庭で東京電力より安いENEOS、提携ポイントも1.5〜2倍に電気料金の新プラン検証シリーズ(9)(1/3 ページ)

石油最大手のJXエネルギーは「ENEOSでんき」の拡販に向けて、電力の使用量が標準以下の家庭でも割安になる料金プランを打ち出した。月間の使用量が180kWhを超えれば東京電力よりも安くなる。電力の契約者にはガソリンなどの料金を割り引くほか、提携カードのポイントも増やす。

» 2016年01月15日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

連載:「電気料金の新プラン検証シリーズ

 ガソリンをはじめ石油製品の需要は年々減少している。石油元売り各社は事業構造を転換して、電力やガスを加えた総合エネルギーサービスを強化する戦略だ(図1)。最大手のJXエネルギー(JX日鉱日石エネルギー)は東京電力の管内で1月15日から、家庭向けの「ENEOSでんき」の販売活動を開始した。

図1 電力やガスを加えた総合エネルギーサービス。出典:JXエネルギー

 料金プランは1種類だけで、従来の東京電力の標準プラン「従量電灯B/C」と同じ3段料金制をとる。月額固定の基本料金を従量電灯B/Cと同額に設定したうえで、使用量に応じて課金する電力量料金の単価に差をつけた。月間の使用量が120kWh(キロワット時)までの1段目の単価を1.33円高くする代わりに、120kWhからの2段目を2.65円安く、さらに300kWh超の3段目を4.18円も安くする(図2)。

図2 「ENEOSでんき」の電力量料金の単価(税込み)。出典:JXエネルギー

 この単価設定により、月間の使用量が180kWhを超える家庭では、東京電力の従量電灯B/Cと比べて割安になる。一般家庭の標準使用量300kWhの場合には月額で317円安くなり、400kWhだと差額は735円に拡大する。それぞれの割引率は4.5%と7.4%で、かなり意欲的な料金プランである。

 東京電力も認可料金の従量電灯B/Cに加えて、4月から自由料金プランを開始する。標準的な「スタンダードプラン」は基本料金が従量電灯B/Cと同じで、電力量料金を2段階に簡素化した。契約のタイプによって3種類に分かれているが、いずれも月間の使用量が300kWhを超えると単価が高くなる(図3)。

図3 東京電力が4月から提供する「スタンダードプラン」と「プレミアムプラン」の単価(税込み)。出典:東京電力

 新しいスタンダードプランと比べてもENEOSでんきは割安だ。使用量が300kWhでは月額42円しか差がつかないが、400kWhになると469円に広がる。東京電力は使用量が多い家庭には「プレミアムプラン」を推奨している。使用量が400kWhまでは電力量料金を定額の9700円に固定するが、それでもENEOSでんきのほうが400kWhの場合で447円安い。400kWhを超えると差は広がっていく。

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