JXエネルギーの強みはサービスステーションを生かした販売ネットワークに加えて、首都圏を中心に展開する火力発電所の供給力だ。東京電力の管内だけで約100万kW(キロワット)の電力を供給できる能力がある(図7)。今後も全国各地で製油所の統廃合を進めながら、その跡地に大規模な発電所を建設することができる。
現時点で最大の供給能力がある「川崎天然ガス発電所」は東京ガスと共同で運営している(図8)。85万kWの電力のうち51%をJXエネルギー、49%を東京ガスが引き取る体制だ。さらに2基の発電設備を増強する計画が進んでいて、稼働すると110万kWが加わる。5年後の2021年に運転を開始する予定になっている。
再生可能エネルギーの供給力も大きい。川崎天然ガス発電所に隣接する場所には、住友グループが運営する「川崎バイオマス発電所」が3万kWの発電能力で運転している。木質バイオマスを燃料に利用する発電所で、電力の99%をJXエネルギーが買い取る。
このほかに製油所の跡地を活用して全国各地にメガソーラーを展開している(図9)。工事中のものを含めて3月には合計13カ所のメガソーラーが稼働する予定で、発電能力を合わせると35MW(メガワット)になる。1年間に一般家庭の1万2000世帯分に相当する電力を供給することができる。
JXエネルギーは市場が大きい東京電力の管内からENEOSでんきのサービスを開始するが、徐々にエリアを全国に広げていく見通しだ。通常の料金プランに加えて再生可能エネルギーを多く含むプランを販売する可能性もある。ガス会社に続いて石油元売りの大手が電力会社の強力なライバルに浮上してきた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.