石油の販売で最大手のJX日鉱日石エネルギーが茨城県の製油所で火力発電設備を稼働させた。発電能力は12万5000kWで電力会社の火力発電設備に匹敵する。石油製品を精製する過程で発生する副生物を燃料に利用する点が特徴だ。発電した電力は家庭向けに「ENEOSでんき」として販売する。
「ENEOS」のブランドで石油製品を展開するJX日鉱日石エネルギーが茨城県の「鹿島製油所」で火力発電設備の試運転を開始した(図1)。製油所では重油からガソリンなどの石油製品を製造するために、さまざまな装置を使って製品と副生物を作り出している。その中の1つが「脱れき」と呼ぶ工程で、重質油からアスファルト成分を除去して軽油などを精製する。
鹿島製油所では「溶剤を使った脱れき(SDA:Solvent De-Asphalting)」装置を新たに導入して、軽質油の生産量を増やすのと同時に、副生物として発電用の燃料になる「SDAピッチ」を作り出せるようにした(図2)。常温では固体のSDAピッチを200度くらいに加熱すると液体になって燃料に利用できる。
JX日鉱日石エネルギーは鹿島製油所に隣接する「鹿島北共同発電」から火力発電設備を取得して、SDAピッチを燃料に使えるように改造した。発電能力は12万5000kW(キロワット)で、12月から営業運転に移行する。2016年4月には東京電力の管内で家庭を対象に「ENEOSでんき」の販売を開始する予定だ(図3)。鹿島製油所で発電した電力もENEOSでんきで供給する。
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