家庭向けの電力小売自由化、4月1日スタートへ準備が進む動き出す電力システム改革(54)(1/2 ページ)

いよいよ開始まで2カ月を切り、小売全面自由化の実施体制が整ってきた。すでに169社が小売電気事業者の登録を済ませて、割安な料金プランで顧客を拡大中だ。契約変更の申込件数は早くも5万件を超えた。全国各地で変更の手続きを迅速に処理するスイッチング支援システムは3月から稼働する。

» 2016年02月15日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

第53回:「自由化後の電気料金のベースが決まる、家庭向けの接続料は6〜9円台」

 家庭や商店が利用する低圧(契約電力50キロワット未満)の電力は1月4日から契約変更の申込受付が始まっている。低圧の利用者は全国で8000万を超える(図1)。膨大な数の消費者を抱える巨大な市場に向けて、さまざまな業種から新規参入が相次いでいる。

図1 小売全面自由化で新たに対象になる家庭・商店向け電力の市場規模と契約数。出典:資源エネルギー庁

 家庭を含めて電力を販売できる小売電気事業者の登録件数は2月8日の時点で169社に達した。さらに登録を申請済みの事業者を加えると284社にのぼる(図2)。毎週10件前後のペースで増えていて、自由化が始まる4月1日には300社を大きく上回る見通しだ。

図2 小売電気事業者の登録申請数(累計)。出典:資源エネルギー庁

 資源エネルギー庁が登録済みの169社を業種別に分類したところ、企業向けで電力の小売実績がある新電力は22社だった。既存の電力会社10社は4月1日から小売電気事業者に認められるため、合わせて32社が電力の専業である。電力会社の子会社も7社が小売電気事業者の登録を済ませた。

 このほかの140社は電力業界以外からの参入である(図3)。ガス会社が32社で最も多く、石油会社も8社が小売電気事業者に登録済みだ。公共的なサービスを展開する業種では通信・放送・鉄道からも32社が登録している。このうち28社はケーブルテレビ最大手のジェイコムグループの地域事業会社である。

図3 小売電気事業者169社(2016年2月8日時点)の業種別一覧(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 さらに再生可能エネルギーを多く含む電力を販売する事業者が21社に増えるなど、利用者にとっては電力の選択肢が一気に拡大する状況になってきた。価格やサービスの競争が始まり、まさに電力市場の自由化を迎えようとしている。

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