自治体が電力会社に挑戦、基本料金も電力量料金も安く電気料金の新プラン検証シリーズ(20)(1/3 ページ)

福岡県みやま市が設立した新電力の料金プランは明快だ。九州電力の現行のプランから基本料金・電力量料金ともに単価を引き下げた。さらに曜日別の料金プランやオール電化の家庭を対象にしたプランを加えた。太陽光発電の電力買取サービスも実施して、原子力に依存する九州電力に対抗する。

» 2016年02月18日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

連載:「電気料金の新プラン検証シリーズ

 自治体が主導する新電力の先頭を切って、みやま市の「みやまスマートエネルギー」が家庭・商店向けの料金プランを発表した。九州全域を対象に「みやまんでんき」の受け付けを2月17日に開始して、4月1日から電力を販売する(図1)。

図1 「みやまんでんき」の告知。出典:みやま市、みやまスマートエネルギー

 料金プランは合計5種類をそろえた。標準的な「従量料金プラン」は家庭と商店向けに1種類ずつ、休日の単価を変えた「曜日別プラン」を2種類、さらにオール電化の家庭を対象にした時間帯別の料金プランもある。これまで九州電力が提供してきた料金プランと比べて単価を安く設定した。

 「従量料金プラン」では、月額固定の基本料金と使用量に応じて課金する電力量料金の両方とも単価を引き下げた。電力量料金は月間の使用量が300kWh(キロワット時)を超えると九州電力よりも安くなる(図2)。ただし契約電力が小さい30A(アンペア)未満と6kVA(キロボルトアンペア)未満の利用者は対象外である。

図2 「従量料金プラン」の単価。出典:みやま市、みやまスマートエネルギー

 九州電力も現在の「従量電灯B」と「従量電灯C」の単価を引き下げた新しい料金プランを発表している。従量電灯Bに代わる家庭向けの「スマートファミリープラン」では、300kWh超の3段目の単価を安くした(図3)。みやま市の料金プランと比べて、1.28円の差が0.20円へ縮まる。

図3 九州電力の新プランの電力量料金単価。家庭向けの「スマートファミリープラン」(左)、商店向けの「スマートビジネスプラン」(右)。出典:九州電力

 さらに商店向けの従量電灯Cに代わる「スマートビジネスプラン」では、3段料金制を廃止して一律の単価を設定した。月間の使用量が700kWhを超えると、みやま市の料金プランよりも安くなる。新たに自由化の対象になる利用者の中でも、使用量の多い商店や事務所の契約を維持して売上の減少を食い止める戦略だ。

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