米国の地方で3割超、風力の比重高まる自然エネルギー(1/2 ページ)

米国の中西部に位置するアイオワ州は、全米で初めて総発電量に占める風力発電の比率が30%を超えたと発表した。風力発電は経済的に重要な位置を占めており、5年以内に風力の比率を40%まで高めることができるという。

» 2016年03月18日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 米アイオワ州のTerry Branstad知事とKim Reynolds副知事は2016年2月29日、同州が風力発電で首位に立ったと発表した。2015年の総発電量(465.6億キロワット時:kWh)のうち、31.3%を風力発電から得た。全米50州のうち、初めて30%を超えた唯一の州だという(図1)*1)

 アイオワ州の面積は14万6000平方キロメートル(km2)。面積は北海道のほぼ2倍であり、310万人が暮らす。プレーリーと呼ばれる穀倉地帯に位置し、カリフォルニア州に次ぐ全米第2の農業州だ。とうもろこしの生産量や豚、鶏の出荷数では全米1位。

 図1で2位を占めたサウスダコタ州(20.0万km2、略称SD)、3位のカンザス州(21.3万km2、略称KS)も農業が盛んな中西部の州だ。

  米風力エネルギー協会(AWEA:American Wind Energy Association)のCEOを務めるTom Kiernan氏は発表資料の中で「アイオワ州の風力資源は世界的にも恵まれている」というコメントを残している。ただし、同州は冬期にブリザードと呼ばれる暴風雪(局地風)に襲われるため、これに耐える風力発電システムが必要だ*2)

*1) 米エネルギー省エネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)が調査した統計(Electric Power Monthly with Data for December 2015)を根拠としている。同調査では50州に含まれないプエルトリコなどの数値も公開している。
*2) 同州には山岳地帯はなく、州内の高低差は最大360m。従って建設コストを抑えることができる。

図1 風力発電の比率が高い10州 出典:アイオワ州政府

全米に広がる風力

 アイオワ州政府は風力発電を4つの点で評価している。クリーンであること、(州内で)再生可能であること、信頼性が高いこと、雇用を増やすことだ。AWEAによればアイオワ州に対する風力の累積投資額は118億米ドル。同州の農産物と畜産物の出荷額合計309億米ドル(2014年単年)の4割近い。

 今後5年をかけて風力発電の比率を40%以上にまで高めることができるとした。40%に達した時点の風力発電の能力は高い。米国の平均的な住宅630万戸分の電力需要を満たすものだと試算した。

 図2は2015年の米国各州における風力発電の比率だ。図1にある上位3州は農業州だったものの、農業州に限らず全米にわたって風力の比率が高まっていることが分かる*3)

*3) テキサス州(TX)とオクラホマ州(OK)といった例外があるものの、南部はふるわない。

図2 全米における風力発電の比率(2015年) アイオワ州を赤枠で示した(クリックで拡大)。出典:米アイオワ州政府
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