再生可能エネルギーの投資額が過去最高に、2015年に全世界で35兆円自然エネルギー(1/2 ページ)

先進国と発展途上国の双方で再生可能エネルギーの投資が拡大している。国連の環境問題を担当する機関が各国の投資状況をまとめたところ、2015年の投資額は全世界で35兆円に達して、過去最高だった2011年を上回った。日本は中国と米国に次いで3番目に多く、投資額は4兆円にのぼった。

» 2016年04月04日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 2015年の世界各国における再生可能エネルギーの投資状況をUNEP(United Nations Environment Programme、国連環境計画)がレポートにまとめて発表した。全世界の投資額は前年から5%増えて、2859億ドルに達した(図1)。2015年の平均為替レート(1ドル=122円)で換算すると約35兆円になる。2013年から3年連続で増加した。

図1 世界の再生可能エネルギーの投資額と成長率(大規模な水力発電を除く)。企業や政府などによる投資の種別で分類。単位:10億ドル。VC/PE:Venture Capital/Private Equity。出典:UNEP、Bloomberg New Energy Finance

 特に注目すべき点は、発展途上国の投資額が2015年に初めて先進国を上回ったことである。中国を中心に発展途上国の投資拡大が着実に進む一方、先進国では2011年をピークに縮小傾向が続いている(図2)。今後さらに差が開いていくことは確実だ。

図2 先進国と発展途上国の再生可能エネルギー投資額(大規模な水力発電を除く)。棒グラフの左側が先進国、右側が発展途上国。単位:10億ドル。出典:UNEP、Bloomberg New Energy Finance

 再生可能エネルギーの種類で分けると、太陽光と風力に投資が集中している(図3)。両方を合わせると全体の投資額の95%に達する。このほかのバイオマス、小水力、バイオ燃料、地熱、海洋は前年を下回る状況だ。太陽光と風力は発電能力の大きい設備を建設しやすいことから、投資が集まる傾向にある。

図3 再生可能エネルギーの種別による投資額と成長率(2015年)。単位:10億ドル。上から順に、太陽光、風力、バイオマス+廃棄物、小水力、バイオ燃料、地熱、海洋。出典:UNEP、Bloomberg New Energy Finance

 太陽光は発電コストの低下が急速に進んだことも投資を呼び込む一因になっている。5年前の2010年と比べて、シリコン系の太陽電池による発電コストは2分の1以下に下がった(図4)。太陽電池の生産拡大による価格低下の効果が大きい。一方で風力は陸上・洋上ともに、5年間で発電コストは下がっていない。

図4 太陽光と風力の発電コスト。単位:ドル/1000キロワット時。右の凡例は上から順に、風力/陸上、風力/洋上、太陽熱+蓄電池、太陽光/シリコン系。出典:Bloomberg New Energy Finance
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