コンクリートを使わない太陽光発電所、3万枚のパネルで2400世帯分の電力自然エネルギー(1/2 ページ)

茨城県で10年以上も放置されていた宅地開発計画の跡地を利用してメガソーラーが運転を開始した。大量の太陽光パネルを設置するためにコンクリートで基礎を造る方法ではなく、地中に杭を埋設してアルミ製の架台を組んだ。エリアごとにパネルの種類を変えた構成で発電量や経年劣化を比較する。

» 2016年04月06日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 茨城県の水戸市の中心部から10キロメートルほどの場所に「春の木ソーラー発電所」が誕生した(図1)。敷地の面積は13万平方メートルに及び、周辺には住宅もある。発電所は全体を3つのエリアに分けて、そのうち2つのエリアで太陽光パネルの設置が完了して発電を開始した。

図1 「春の木ソーラー発電所」の全景。左側の空き地にも太陽光パネルを設置予定。出典:Looop

 太陽光パネルの数は合計で約2万枚にのぼり、残る1つのエリアにも1万枚を設置する。3つ目のエリアは2017年1月に発電を開始する予定だ。各エリアの発電能力は2.8MW(メガワット)で、合計すると8.4MWになる。年間の発電量は880万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して2400世帯分に相当する電力を供給できる。

 この発電所は太陽光発電システムを開発・販売するLooop(ループ)が建設した。発電した電力は固定価格買取制度を通じて東京電力に売電する計画だ。すでに運転を開始した2つのエリアでは3月30日と4月1日に送電を開始している(図2)。2013年度に固定価格買取制度の認定を受けたため、買取価格は1kWhあたり36円(税抜き)になる。3つ目のエリアだけは2012年度に認定を受けていて、買取価格は40円である。

図2 太陽光パネルの設置状態。出典:Looop

 太陽光パネルは3種類の製品をエリアごとに使い分ける。第1のエリアはシリコン系の単結晶タイプ(最大出力275W=ワット)、第2のエリアは多結晶タイプ(260W)で、これから設置工事に入る第3のエリアでは両面ガラスの単結晶タイプ(280W)を採用する。3種類のパネルによる発電量の違いや経年劣化の影響などを比較する狙いがある。

 特に両面ガラスの太陽光パネルは経年劣化を抑える設計を施している。従来型の製品はパネルの裏面を樹脂製のバックシートでカバーしている。これに対して表面と裏面を同じ厚さのガラスで覆う構造にして、水や熱や衝撃によるダメージを防ぐ(図3)。パネルの故障率を小さくして寿命を長く保てる点が特徴だ。

図3 両面ガラスの太陽光パネル(上)、従来型のパネルと比較した構造の違い(下)。EVA:エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、PID:電圧誘起出力低下、AR:反射防止。出典:Looop
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