電力の契約数を伸ばす東京ガスと大阪ガス、セット割引と電源構成をアピール電力供給サービス(1/2 ページ)

家庭向けの電力販売の申込件数で東京ガスと大阪ガスがリードしている。すでに東京ガスは24万件を超えて、大阪ガスも3月末に10万件を突破した。電力と都市ガスのセット割引を訴求する一方、CO2排出量の少ないLNG火力と再生可能エネルギーによる電源構成のメリットも強調する。

» 2016年04月07日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 東京ガスの電力販売に対する申込件数が加速している。4月4日の時点で累計24万2000件に達して、直近の3週間で2倍以上に拡大した(図1)。2月1日に電気料金を改定して以降、3週間ごとに倍増のペースで伸びている。実際に4月1日から電力の供給が始まり、申込件数の増加は当面のあいだ続きそうだ。まもなく東京電力の家庭の契約者数(約2700万件)の1%を超える。

図1 東京ガスの電力販売に対する申込受付件数。出典:東京ガス

 関西電力の管内では大阪ガスが申込件数を伸ばして、3月31日に10万件を突破した。同様に関西電力の契約者数(約1250万件)の1%を上回るのは時間の問題だ。大阪ガスは東京ガスと同時に1月4日から電力の申し込みを受付開始した。関西では東京ほど料金競争が激しくなっていないこともあり、大阪ガスは当初に発表したセット割引プランで申込件数を増やしている(図2)。

図2 大阪ガスのセット割引(年間の電力使用量が4400キロワット時の場合)。出典:大阪ガス

 一方の東京ガスは2月1日に電気料金の単価を引き下げた。これにより年間の電力使用量が4700kWh(キロワット時)の家庭(戸建住宅の3人家族)では、電力とガスのセット割引額が1年間で4800円から8500円に拡大した(図3)。セット割引のメリットが明確になったことで、東京ガスの既存顧客を中心に電力の申し込みが急速に増え始めた。

図3 東京ガスの料金改定によるセット割引の拡大(年間の電力使用量が4700キロワット時の場合)。出典:東京ガス

 都市ガスの利用者にとってはエネルギーを供給する会社という安心感があるため、携帯電話会社などから電力を買うよりもハードルが低い。加えて東京ガスや大阪ガスは自社で発電所を所有して、大量の電力を安定供給できる面でも有利に見える。

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