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» 2016年04月11日 09時00分 UPDATE

電力供給サービス:夏の電力は今年も心配なし、原子力ゼロの関西も予備率6%台に (1/2)

電力の需要が増える7月〜9月の需給予測がまとまった。需要のピークに対する供給力の予備率は全国平均で8%以上を確保できる見通しで、停電の心配が生じる3%を大きく上回る。従来は夏の予備率を3%で予測していた関西電力も6%台に改善する。節電効果に加えて新電力へ離脱する影響が大きい。

[石田雅也,スマートジャパン]

 ようやく関西電力が実態に見合う需給予測を出してきた。電力の使用量がピークになる7月と8月に2567万kW(キロワット)の需要を想定して、前年の2556万kWから微増にとどめた。一方で供給力は130万kWも減らすが(2875万kW→2745万kW)、それでも予備率(需要に対する供給力の余裕)は6.8〜6.9%を確保できる見通しだ(図1)。

図1 2016年夏の需給予測(画像をクリックすると北陸〜九州も表示)。出典:資源エネルギー庁

 このほかの電力会社では東北電力が7月に予備率4.3%を予測したのが最低で、各地域ともに3%以上の予備率を予測した。特に北海道・北陸・中国・九州の4地域では、7月〜9月の3カ月間を通じて予備率が10%を上回る状況だ。沖縄を除く9地域の平均でも8%以上の予備率を確保できる(沖縄は他の地域と送電線がつながっていないために需給予測の対象外)。

 東日本大震災から5年が経過して、政府の電力需給検証小委員会は予測の手法にも改善を加えた。従来は震災前の2010年の実績をもとに、気温・経済・節電の3つの要因を加味して需要を予測する方法をとってきた。2016年の夏から新電力へ離脱する影響も含めたことで、電力会社の需要が大幅に減っている(図2)。

図2 需要(最大電力)の算出方法(画像をクリックすると北陸〜九州も表示)。単位:万キロワット。出典:資源エネルギー庁

 離脱分が最も多いのは東京電力の577万kWで、そのために需要が12%も減少する。次いで関西電力の362万kWが多く、需要の14%に相当する規模になっている。さらに北海道でも需要の10%が新電力へ移行する想定だ。

 これだけ大量の需要が新電力へ移行しても、各地域の供給力に問題は生じない。電力会社が新電力の供給力をバックアップするために確保している分と予備率3%以上の余剰分を合わせると、新電力へ移行する需要を上回るためだ(図3)。加えて新電力が運転している100万kW級の火力発電所が東京電力と関西電力の管内にある。

図3 新電力へ離脱する需要の増加と対応する供給力(画像をクリックすると注釈も表示)。出典:資源エネルギー庁

 新たに節電効果の予測方法も見直した。従来は各地域で節電に関するアンケートを実施して、節電対策を継続すると回答した比率を前年の実績値にかけ合わせる方法をとっている。その結果、節電による需要の減少分は前年の実績値を下回る予測になっていた。

 今年も引き続き同じ方法で節電効果を予測したが、より実態に近い算出方法を適用した需給予測も参考値として出した。すでに節電対策が定着したことを前提に、直近3年間の実績値の平均で予測する方法だ。そうすると各地域の予備率は改善する(図4)。7月の予備率が最低の中部でも5%を超える。来年の夏の需給予測には、この方法を採用する可能性が大きい。

図4 節電による需要の減少分を直近3年間の実績値で算出した場合の需給予測(画像をクリックすると北陸〜九州も表示)。出典:資源エネルギー庁
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