「中央新幹線」の送変電設備を新設へ、15万ボルトの電力を供給電力供給サービス(1/2 ページ)

2027年に東京−名古屋間で開業予定の「中央新幹線」に向けて、中部電力が変電所と送電線を新設する。JR東海が車両基地と鉄道変電所を岐阜県に建設するため、既設の送電線を分岐して電力を供給する計画だ。中央新幹線を走る超電導リニア車両の運行には最大27万キロワットの電力が必要になる。

» 2016年04月18日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 東京都心の品川駅と名古屋駅を最短40分で結ぶ「中央新幹線」の開業準備が電力供給の面でも進み始めた。中部電力はJR東海(東海旅客鉄道)から新規に15万4000ボルトの電力を専用で受電できるように申し込みを受けたため、岐阜県内に変電所1カ所と送電設備を建設する計画だ。

 JR東海は中央新幹線の運行に向けて、岐阜県の中津川市に「中部総合車両基地」と「新中津川変電所」を新設することを決めている。この2つの設備で必要になる電力を供給するために、中部電力は隣接する恵那市に「恵那変電所」を新設するほか、基幹の送電線から恵那変電所までを結ぶ「恵那分岐線」を敷設する(図1)。

図1 中央新幹線の走行に必要な送変電設備の新設計画。出典:中部電力

 恵那分岐線の建設工事に先だって、中部電力は環境影響評価の手続きを4月12日に開始した。手続きが順調に進めば、2021年度に工事を開始して、3年後の2014年度に完了する予定だ。並行して恵那変電所の建設とJR東海の2つの設備を結ぶ送電線の敷設も進めることになる。

 中部電力は発電所から送り出す50万ボルトの超高圧の電力を基幹の送電線を通じて各地に供給している。恵那分岐線も50万ボルトの送電を可能にするために、高さが80〜150メートルの鉄塔を建てて電線を張っていく(図2)。電線の太さは1本あたり410平方ミリメートル(断面積)で、4本の電線を6組で合計24本で構成する。恵那変電所までの距離は700メートルである。

図2 新設する送電設備の標準的な構造。出典:中部電力
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