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» 2016年05月12日 13時00分 UPDATE

次世代の火力発電ロードマップ(1):火力発電の最先端技術を2021年までに確立、CO2削減へ開発を加速 (1/3)

政府は2030年のCO2削減目標を達成するために、次世代の火力発電技術の開発を急ぐ。技術開発のロードマップを6月中に改訂して、官民一体で実用化に取り組んでいく。石炭火力は高効率のガス化複合発電へ、LNG火力は燃焼温度を高めたガスタービン発電機を開発して世界をリードする戦略だ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 日本の電力の中核を担う火力発電が大きな変革期を迎えている。最大の課題であるCO2(二酸化炭素)の排出量を2030年までに削減するためには、発電効率を向上させた最新の設備に切り替えていく必要があるからだ。さらに2030年以降の経済成長に向けて、水素を利用できる革新的な技術を開発して海外の市場にも展開していく(図1)。

図1 次世代火力発電の技術開発に関する基本方針(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 政府は2015年7月に策定した「次世代火力発電に係る技術ロードマップ」を1年も経たずに改訂する方針だ。同年12月に世界各国と合意したCO2削減目標を達成するには、電力業界全体で2030年度にCO2排出係数を0.37kg-CO2/kWh(CO2換算キログラム/キロワット時)まで引き下げなくてはならない(図2)。

図2 電力業界が取り組む目標と国の施策(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 この目標値は現在の水準と比べて電力1kWhあたりのCO2排出量を30%以上も削減することを意味する。電力会社をはじめ発電事業者と小売事業者の双方が早急に対策に取り組まなければ目標達成はむずかしい。CO2排出量を削減できる次世代の火力発電の技術開発を加速させることが求められている。

 政府は5月中に有識者による協議会で検討を重ねたうえで、火力発電の最新動向をふまえて6月中にロードマップの改訂版を公表する。LNG(液化天然ガス)火力と石炭火力を対象に、現行のロードマップをベースにしながら優先度の高い技術の開発方針を具体的に提示する見通しだ(図3)。

図3 次世代火力発電のロードマップ(2015年7月に策定、画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 さらに従来はロードマップに入れていなかった水素発電に関しても、技術開発の方向性を盛り込む。水素発電はLNGと水素を混焼して発電する方法と、水素だけを燃焼させて発電する方法がある。いずれの発電方法もCO2排出量を削減するうえで有効だ。

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