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» 2016年06月13日 13時15分 UPDATE

次世代の火力発電ロードマップ(4):水素が変える未来の火力発電、2030年のCO2排出量を減らす (1/3)

次世代に向けた火力発電技術の1つとして水素発電の開発が進んでいる。水素を燃料に利用することでCO2の排出量を削減する狙いだ。水素と天然ガスを組み合わせた混焼発電から着手して、2030年代には水素だけを燃料に使う専焼発電の実用化を目指す。課題は発電コストと窒素酸化物の抑制にある。

[石田雅也,スマートジャパン]

 国が推進する次世代火力発電の技術開発プロジェクトの中で、水素発電の位置づけが改めて明確になった。従来は火力発電に伴うCO2(二酸化炭素)の排出量を削減するために、石炭火力とLNG(液化天然ガス)火力の高効率化、さらにCCUS(CO2回収・利用・貯留)に重点を置く方針だったが、新たに水素発電を加えて4本柱で技術開発を進めていく(図1)。

図1 次世代火力発電の技術開発の方向性(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 水素は化石燃料から製造する方法のほかに、再生可能エネルギーからCO2フリーの水素を製造することも可能だ。発電用の燃料に利用できれば、石炭やLNGと比べてCO2排出量を大幅に削減できる。CCUSと組み合わせて火力発電の最大の問題点を解消できる期待がかかる(図2)。

図2 火力発電に伴うCO2排出量の削減技術(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 一方で実用化に向けた課題も少なくない。第1に発電コストが石炭火力やLNG火力と比べて高いことだ。現在のところ2030年までに電力1kWh(キロワット時)あたり17円に低減させる目標を掲げている。それでも石炭火力とLNG火力の1.4〜1.8倍の水準にとどまる(図3)。

図3 次世代火力発電技術の特徴(画像をクリックするとCO2貯蔵・利用技術も表示)。kWh:キロワット時。出典:資源エネルギー庁

 このほかに水素を燃焼させた時に発生する窒素酸化物(NOx)の排出量が石炭やLNGよりも多く、排出量を低減させるためのガスタービンの技術開発が重要になっている。大規模な水素発電には大量の水素を安定して供給できる体制の整備も不可欠だが、すでに国内と海外で水素を製造して輸送・貯蔵する技術の開発が進んできた。2030年代には全国各地で水素を供給するサプライチェーンが構築できている見込みだ。

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