火力発電で効率世界記録、コンバインドサイクルで62.22%蓄電・発電機器(1/2 ページ)

フランス北部のブシャンで仏大手電力会社EDFの新型火力発電所が稼働を開始した。GE製の新型ガスタービンを採用したコンバインドサイクル方式の発電所で、発電効率は世界最高の62.22%を達成した。

» 2016年06月21日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 米国のGEとフランスのEDF(フランス電力)は2016年6月17日(現地時間)、フランス北部のブシャンでGE製のガスタービンを用いたコンバインドサイクル方式の「ブシャン火力発電所」が稼働を開始したと発表した。同発電所では送電端効率62.22%を達成し、世界最高効率のコンバインド・サイクル発電所としてギネス世界記録に認定されたという。

 ブシャン火力発電所は天然ガスを利用して、フランスの一般家庭約68万世帯の仕様電力量に相当する60.5万kW(キロワット)の発電を行う計画だ。同発電所が採用するコンバインドサイクル方式は、ガスタービンを利用する発電機から得た動力と、ガスを燃焼させるときに発生する熱の両方を利用して発電する。このシステムを担うガスタービンにGEの新型ガスタービン「9HA」を採用した(図1)。

図1 GEの新型ガスタービン「9HA」出典:GE

 GEのHAガスタービンのコンプレッサーは、大型飛行船を約10秒で膨らませられる送風能力を持つ。ガスタービンのブレード(羽根)の先端は音速の1.5倍に相当する時速1931km(キロメートル)の速度で回転する。

 こうした性能を持つ9HAの採用により、ブシャン火力発電所のコンバインド・サイクル発電システムは、高い発電効率を実現するだけでなく、発電所の出力を未稼働状態から30分以内にプラント定格出力まで引き上げることが可能だという。

 電力会社は柔軟性のある火力発電所を持つことで、系統に接続された再生可能エネルギーによる発電設備の出力が天候で変化した場合にも対応しやすくなる。EDFはこうした最新鋭の火力発電所を整備することで、再生可能エネルギー電源の接続拡大に対応していく考えだ。

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