米国のベンチャー企業が開発した「スマートゴミ箱」の実証実験が長崎県の「ハウステンボスリゾート」で始まった。ゴミ箱の上部に太陽光パネルが搭載されていて、内部のゴミの蓄積状況をセンサーで感知して無線で送信できる。ゴミの収集頻度やゴミ箱の最適配置を検証して本格展開を目指す。
広さが150万平方メートルを超える「ハウステンボスリゾート」の一角に、目新しいゴミ箱が設置されている(図1)。米国のBigBelly Solar社が開発した「スマートゴミ箱」だ。日本国内でスマートゴミ箱を販売する日本システムウエアとハウステンボスが共同で6月29日から実証実験に取り組んでいる。
スマートゴミ箱は上部の曲面に太陽光パネルを搭載している。太陽光で発電する最大20ワットの電力を使って、ゴミの蓄積状況をセンサーで感知してデータを無線で送信することができる。さらに内部に溜まったゴミを自動的に圧縮する機能もある。世界中で注目を集めている「IoT(Internet of Things、モノのインターネット)」を応用したシステムである。
ハウステンボスに設置したスマートゴミ箱は2つのタイプを組み合わせた。1つは可燃ゴミを回収する圧縮タイプで、もう1つは缶やペットボトルを回収してリサイクルする非圧縮タイプだ(図2)。圧縮タイプはゴミが一定量を超えると自動的に圧縮機能が作動する仕組みになっている。
2つのタイプのゴミ箱ともに内部の蓄積レベルをLEDで表示するほか、センサーで感知した蓄積状況のデータを携帯電話の回線を使って遠隔地の管理システムに送信する。管理システムの画面にはゴミ箱ごとの蓄積状況をグラフで表示できるほか、ゴミ箱の設置場所を地図で表示して収集作業の計画を立てることもできる。
すでに米国やヨーロッパでは数多くの自治体や大学がスマートゴミ箱を導入して、収集作業の効率化で人員とコストを大幅に削減する成果を挙げている。日本では東京・港区にある東海大学の高輪キャンパスに2016年1月に設置したのが第1号で、ハウステンボスと同様に実証実験に取り組んでいる(図3)。
ハウステンボスでは実証実験で蓄積した運用データをもとに、ゴミの収集業務の改善効果を検証する。検証結果をもとにオリジナルのスマートゴミ箱も開発する計画だ。敷地が広いテーマパークのゴミ収集業務を効率化しながら、来場者が「わくわくするゴミ箱」を展開していく。
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