世界最高水準の熱効率を達成した新仙台火力発電所が営業運転開始電力供給サービス

東北電力は、このほど新仙台火力発電所3号系列の全量による営業運転を開始した。

» 2016年07月06日 11時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 東北電力で新たに営業運転を開始した新仙台火力発電所3号系列(仙台市宮城野区、出力98万kW)は、経済性の向上と二酸化炭素排出削減を実現するため、新設したものとなる(図1)。

photo 図1 新仙台火力発電所の外観写真 出典:東北電力

 3号系列は、経年化が進んだ1号機(使用燃料:重油、35万kW)を2015年3月に、2号機(同:天然ガス・重油・原油、60万kW)を2011年10月にそれぞれ廃止し、新たにLNGを燃料とする高効率コンバインドサイクル発電設備(ガスタービン+蒸気タービン+発電機、49万kW×2軸)として建設したものとなる。

 2015年12月に営業運転を開始した3−1号と、2016年7月に営業運転を開始した3−2号で構成されている。これまでのコンバインドサイクル発電設備に関係する運転・保守で培った知識や技術を設計に反映し、信頼性と熱効率の向上に努めた結果、世界最高水準となる60%以上の熱効率を達成した。これにより、従来型のガス火力と比べ、燃料消費量および二酸化炭素排出量がそれぞれ約3割削減できるものと、同社は試算している。

 また、3号系列の設備の特徴として、同社初のLNG燃料設備を発電所の構内に設置している。LNG燃料設備は、同当社企業グループである日本海エル・エヌ・ジーが、日本海側に新潟基地を保有しているが、今回、太平洋側にLNG燃料設備を設置することで、自然災害に対するリスク分散が図られる。

 さらに、東日本大震災で同社火力が被災した経験を踏まえて、配管サポートの強化や発電所構内に防潮堤を設置するなどの耐震・津波対策を実施することで災害への備えも強化している。

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