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» 2016年07月15日 07時00分 UPDATE

省エネ機器:飛行機がハイブリッドになる、電気で飛べばCO2も騒音も少ない (1/2)

ドイツのシーメンスが中心になって開発した電動の飛行機が初めての公開飛行に成功した。出力260キロワットのモーターでプロペラを回転させて、1トン近い重さの飛行機に推進力を与える。モーターとエンジンを組み合わせて100人乗りのハイブリッド飛行機を実用化することが最終目標だ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 全長7.5メートルの小型飛行機「Extra 330LE」が、7月4日にドイツ西部の空港で公開飛行にのぞんだ(図1)。機体の前方にモーターを搭載して、電気だけでプロペラを回転させて飛ぶことができる。モーターの最高出力は260kW(キロワット)で、電気自動車の「日産リーフ」の80kWと比べると3倍以上だ。

図1 ドイツ国内を飛行中の電動飛行機「Extra 330LE」(画像をクリックすると拡大)。出典:Siemens

 これほど高出力のモーターを搭載した電動の飛行機による公開飛行は世界で初めての試みだ。電機メーカーのシーメンス(Siemens)が開発したモーターは重さが50kg(キログラム)と軽量で、1分間に2500回転する能力がある(図2)。この推進力で1トン近い重さの機体を飛行させることが可能になる。

図2 モーターで駆動するプロペラ。出典:Siemens

 機体の前方にはシーメンス製のモーターとインバーターのほかに、スロベニアの小型飛行機メーカーであるピピストレル(Pipistrel)が開発したバッテリー・モジュールを搭載している(図3)。バッテリーの蓄電容量は公表していないが、7月4日の公開飛行では10分間にわたって飛ぶことができた。

図3 機体の前方に内蔵するモーター、インバーター、バッテリー(画像をクリックすると拡大)。出典:Siemens

 シーメンスは電動の飛行機の性能を強化しながら、次のステップでは商用のハイブリッド飛行機を開発する。大手航空機メーカーのエアバス(Airbus)と共同で、2030年までに100人乗りのハイブリッド飛行機を実用化する計画だ。飛行距離を1000キロメートルまで延ばして、近距離の運航に利用できるようにする。

 そのためにはモーターの出力を1万kW程度まで引き上げる必要がある。従来のジェットエンジンを搭載した飛行機と同様に、プロペラよりも推進力が大きいダクトファンを駆動するためだ。シーメンスとエアバスは2020年をめどに技術面の実現可能性を実証したうえで、商用のハイブリッド飛行機の開発を進めることにしている。

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