岩手県に国内最大級のバイオマス発電所、地域雇用と11万世帯分の電力を生む自然エネルギー(1/2 ページ)

東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県南部の大船渡市に、太平洋セメントとイーレックスが国内最大級となる出力75MWのバイオマス発電所を建設する。被災した太平洋セメントの工場内に建設するもので、2019年秋から年間11万世帯分の電力を発電する見込みだ。発電事業の開始に伴い地元から従業員を採用するなど、復興を進める東北経済の活性化にも寄与する。

» 2016年08月02日 13時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 岩手県南部の大船渡(おおふなと)市に、大型バイオマス発電設備の建設が決まった。太平洋セメントと新電力のイーレックスが共同実施するもので、出力75MW(メガワット)の発電設備を2019年秋をめどに稼働させる計画だ。完成すれば国内最大級のバイオマス発電所になる。

 総事業費は235億円を見込んでおり、事業は2社の共同出資で設立する大船渡発電を通して行う。出資比率は太平洋セメントが65%、イーレックスが35%で、資本金は40億円。2016年8月5日に設立する。発電所の建設計画は既に岩手県の環境評価手続きを済ませており、2016年中に着工する計画だ。

被災した工場の敷地内に建設

 発電所は大船渡市赤崎町にある太平洋セメントの「大船渡工場」内の敷地に建設する(図1)。同工場は2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた。約70万平方メートルの敷地を持ち、セメントを年間200万トン生産している。東北地域の産業廃棄物処理も行っており、こちらは年間40万トンを処理している。震災で発生した廃棄物の再資源化なども担ってきた実績がある工場だ。

図1 太平洋セメントの「大船渡工場」出典:太平洋セメント

 発電設備には燃焼によって発生したガスを高速で循環させ、高い熱効率を得られるのが特徴の循環流動層ボイラーを採用する計画だ。さらに再熱式蒸気タービンも導入する。これはタービン発電機から再びボイラーに蒸気を戻して再加熱する方式で、発電設備全体の効率を高める事ができる。

 年間の発電量は48万MWh(メガワット時)を見込んでいる。これは一般家庭11万世帯分の年間電力消費量に相当する発電量だ。大船渡発電は再生可能エネルギーの固定買取価格制度を利用して、イーレックスに売電する。

※売電先の記載に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。上記記事は既に訂正済みです。

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