住宅をIoTでスマートハウスに、電力の使用状況を無線で収集・管理エネルギー管理

無線通信とソフトウエアを組み合わせたIoTの技術を利用すると、家庭内の電力の使用状況を監視しながら機器を自動的に制御できるようになる。家電機器やスマートメーターから無線通信ネットワークでデータを収集して、遠隔のパソコンやスマートフォンに電力の使用状況を伝える仕組みだ。

» 2016年09月08日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 家電機器などに組み込むソフトウエアを開発するACCESS(アクセス)が電子部品メーカーのロームと提携して、「スマートハウス向け電力マネージメントソリューション」の拡販に乗り出した。家庭内に設置したホームゲートウエイにACCESSのソフトウエアを搭載することで、家電機器やスマートメーターから電力の使用状況のデータを収集・管理できる(図1)。

図1 「スマートハウス向け電力マネージメントソリューション」のシステム構成(画像をクリックすると拡大)。HGW:ホームゲートウエイ、BLE:Bluetooth Low Energy。出典:ACCESS

 ホームゲートウエイにはケーブルテレビのセットトップボックスなどを利用できる。ACCESSが提供するソフトウエア(NetFront Agent、NetFront HEMSConnect)をホームゲートウエイに搭載したうえで、ローム製の通信モジュールを装着すれば、無線ネットワークでデータを送受信できるようになる。この通信モジュールにはスマートメーターとデータをやりとりできるWi-SUNと呼ぶ無線通信方式を採用している(図2)。

図2 機器に装着・内蔵する通信モジュール。「EnOcean通信モジュール」は温度センサー内蔵(左)と開閉センサー内蔵(右)の2種類。出典:ACCESS

 さらにロームはEnOceanと呼ぶ電池なしで使える通信モジュールも提供する。温度センサーと開閉センサーを内蔵した2種類のモジュールがあり、いずれも内部の太陽電池が微弱な光で発電して蓄電も可能だ。温度を感知しながら窓を自動的に開閉する機能を実現できる。このところ話題のIoT(モノのインターネット)の典型的な適用例になる。

 ホームゲートウエイに集約したデータはパソコンやスマートフォンに送って、住宅の利用者(エンドユーザー)やサービス事業者が家電機器を遠隔から監視して制御する。エンドユーザーはACCESSが開発したチャットアプリケーションの「Linkit」を使うと、ホームゲートウエイや家電機器に指示を出すことができる(図3)。Linkitはデータを暗号化して通信するために情報のセキュリティを保ちやすい利点がある。

図3 チャットアプリケーション「Linkit」の利用イメージ。出典:ACCESS

 一方でサービス事業者は契約先の住宅のホームゲートウエイや家電機器をパソコンの画面で集中的に監視・制御できる(図4)。スマートハウスを対象にしたエネルギー管理サービスを提供する場合などに有効だ。ACCESSとロームは住宅のほかにオフィスビルにも適用できるように機能を拡充していく。

図4 サービス事業者向けの管理画面イメージ(画像をクリックすると拡大)。出典:ACCESS

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