ワタミが「仮想発電所」を構築、宅配営業所に蓄電池導入電力供給サービス

日本国内で「仮想発電所」を構築する実証試験が相次いで始まっている。このほど外食大手のワタミの子会社であるワタミファーム&エナジーも実証を開始した。同社の営業所に蓄電池を設置し、遠隔制御により需給調整などに活用する。

» 2016年09月12日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 外食大手ワタミの100%子会社であるワタミファーム&エナジー(以下、ワタミF&E)は、パワーシェアリング(以下、PS社)と共同で、バーチャルパワープラント実証事業(VPP実証事業)を開始した。同社の宅配サービス「ワタミの宅食」の営業所に蓄電池を設置し、需給調整の実験を行っている。今後は、ワタミグループの事業拠点はじめ、電気の供給先となる拠点に蓄電池の設置を拡大し、「VPP(Virtual Power Plant、仮想発電所)」の構築を目指す。

 FITの開始以降、再生可能エネルギーの導入が進んでいる。一方、気象条件などで発電量が変動する再生可能エネルギーを、いかに安定供給し、有効に活用していくかが喫緊の課題となっている。こうした中、複数の小規模な分散電源や電力の需要抑制を統合することによって、あたかも1つの発電所のように制御を行うことのできるVPPに注目が集まっており、国内でも多くの実証試験が始まっている。

 今回、ワタミF&Eが取り組むVPP実証事業は、同社が小売電気事業者として電気を供給している「ワタミの宅食」の営業所に、PS社が蓄電池を設置。インターネットを利用した遠隔制御により蓄電・放電管理を行うというもの(図1)。再生可能エネルギーの発電状況に合わせて、蓄電・放電するとともに、昼夜の電力購入タイミングを動かす(ピークシフト)ことで電気料金の低減を狙う。

図1 実証のイメージ 出典:ワタミ

 このVPP実証事業を通し、ワタミF&EはPS社と共同で蓄電池の需給管理のノウハウを蓄積し、今後は電気の供給先となる拠点に蓄電池の設置を拡大させていく計画だ。これにより、再生可能エネルギーの効率的な供給および消費を促すとともに、既存の送配電システムでも欧米のように再生可能エネルギー(FIT電気)比率を高められると見込んでいる。

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