インドが秘めた力、短期間に最大規模の太陽光太陽光(1/2 ページ)

単独規模としては世界最大だと主張する太陽光発電所がインドで完成した。出力は648MW。2万7000トンの部材、6000kmの電力用ケーブル、250万枚の太陽電池モジュールを用いて、わずか8カ月で立ち上げた。

» 2016年09月30日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 インドAdani Green Energyは2016年9月21日、出力648メガワット(MW)の大規模太陽光発電所の建設を完了、系統と接続したと発表した*1)。単独の太陽光発電所としては世界最大だと主張する*2)。敷地面積は約10平方キロメートル(km)。

 建設地は、インド最南部に位置するタミルナードゥ州ラーマナータプラム県カミューティ(図1)。タミルナードゥ州は電力源のうち11%を再生可能エネルギーから、電力源のうち2%を太陽光発電から得る政策を打ち出している。2012年には太陽光発電所の合計容量を3000MWに高める計画を発表。今回の発電所はこれに寄与するものなのだという。

*1) 政府系の地域送電会社Tantransco(Tamil Nadu Transmission)の40万ボルト送電ラインと接続した。
*2) 複数段階の計画により、完成後に規模を拡大した太陽光発電所を含めた場合、最も出力が大きいのは中国青海省海南チベット族自治州貴南県に位置する龍羊峡ダム太陽光発電所(Longyangxia Dam Solar Park)だ。第一期の出力320MWと2015年末に完成した第二期の出力530MWを合計すると850MWとなる。黄河にかかる水力発電ダムから得た電力と、太陽光発電から得た電力を組み合わせて出力の安定性を高めるという特徴がある。

図1 建設地はインド最南部に位置する オレンジ色の丸で示した。対岸にはセイロン島が位置する。首都デリーを空色の四角で示した 出典:NASA、編集部が加工

 建設に要した費用は455億ルピー(約690億円)。日本国内の約2分の1の費用で立ち上げた計算だ。日本国内に建設した場合は、土地代を除いて1MW当たり2億円程度が必要になる。

 建設期間はかなり短く、8カ月だ。完成予定日に間に合わせるため、合計8500人の作業者が建設に参加、1日平均11MWずつ太陽電池モジュールを設置していったという。

 太陽光発電所に用いた資材の量も記録的だ。部材の全重量は2万7000トンに達し、架台の数は38万台、そこに250万枚の太陽電池モジュールを設置した。576台のパワーコンディショナーと154台の変圧器も導入した。太陽光発電所内で用いた電気ケーブルの長さは、合計6000kmにも達した。

 採用した太陽電池モジュールの仕様は明らかになっていないものの、総出力と枚数の関係から、1枚当たりの出力は約260Wだと分かる。

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