太陽光パネルを東と西に向けて、メガソーラーの発電量を15%増やす蓄電・発電機器(1/2 ページ)

NTTファシリティーズは千葉県に建設するメガソーラーで、東と西に向けて太陽光パネルを設置する新システムを初めて導入する。通常の南向きに太陽光パネルを設置する方法と比べて、同じ敷地面積で発電能力を25%増やすことができる。年間の発電量は15%増加する見込みだ。

» 2016年10月31日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 新方式のシステムを導入する「F長柄太陽光発電所」は、千葉県のほぼ中央に位置する長柄町(ながらまち)で10月27日に着工した。発電能力は1.9MW(メガワット)で、そのうち1.1MWの設備を東西に向けて太陽光パネルを配置する新方式で建設する(図1)。残りの0.8MWは通常の南向きにパネルを設置して新方式の導入効果を検証する予定だ。

図1 「F長柄太陽光発電所」の完成イメージ。出典:NTTファシリティーズ

 NTTファシリティーズが独自に開発した「FソーラーパッケージMタイプ」をメガソーラーで初めて採用した。東向きと西向きの太陽光パネルを家の屋根のような形に組み合わせる点が特徴だ(図2)。東向きと西向きの合計4列で太陽光パネルをM字型に配置する。

図2 東西向きの設置イメージ(左)、実際に設置した状態(右)。出典:NTTファシリティーズ

 太陽光パネルを南向きに設置する場合には、隣接するパネルに影が生じるため、パネルの間隔をあけなくてはならない。東西向きにM字型で配置すると影が生じず、より多くの太陽光パネルを設置できる(図3)。

図3 南向きと東西向きに設置する場合の太陽光パネルの間隔。PCS:パワーコンディショナー。出典:NTTファシリティーズ

 M字型を採用する「F長柄太陽光発電所」では、南向きだと0.9MWの太陽光パネルしか配置できないスペースに、東西向きで1.1MWを設置できる。同じ敷地面積で発電能力を約25%増やすことが可能になった。パネルの設置角度は東西で15度に統一する。一方の南向きのパネルは傾斜を小さくして10度で設置する。

 メガソーラー全体で年間の発電量は198万kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して550世帯分に相当する。東西向きの場合の発電効率は南向きと比べて90%以上になる見込みで、設置面積あたりでは約15%の発電量の増加を期待できる。運転開始は5カ月後の2017年3月下旬を予定している。

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