もみ殻を再生可能エネルギーとして有効活用、北海道で共同研究を開始自然エネルギー

精米時に発生する「もみ殻」。道内有数の米産地である北海道滝川市で、このもみ殻をエネルギーとして有効活用する取り組みが始まる。同市とIHI環境エンジニアリング、ラサ工業の3社が共同研究協定を結び、もみ殻の燃料化や燃焼利用技術の開発に取り組む計画だ。

» 2016年11月04日 13時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 北海道滝川市、IHI環境エンジニアリング(IKE、東京都江東区)、ラサ工業(東京都中央区)は、滝川市周辺地域で発生する利用度の低い農業残渣(さ)である「もみ殻」をエネルギー源などとして有効活用を図り、地域の振興・発展に寄与することを目的として、このほど共同研究協定を締結した。

 現在、もみは暗渠(きょ)資材、堆肥化および畜舎の敷料といった農業資材での利用にとどまっているが、燃焼させると木質バイオマスと同等の熱量を発生させるため、地域で身近に存在するエネルギー資源として期待されている。一方、もみ殻は木質バイオマス燃料と比較すると灰分割合が高く、燃焼させると多くの燃焼残渣が排出され、この燃焼残渣の活用も、もみ殻利用を推進する上では課題となる。

 同事業ではIKEとラサ工業が共同開発した小規模分散型熱利用システム(KoCona-Series)をもみ殻へ適用し、滝川市は研究における地域内の調整、連携およびもみ殻利用の仕組み作りを担当する。また、IKEはもみ殻の燃焼・熱利用技術を検討。ラサ工業はもみ殻の燃料化技術を検討し、もみ殻利用に関する情報交換や調査をはじめ、もみ殻の燃料化と燃焼試験、燃焼熱の農業利用、さらに燃焼残渣の活用に関する研究事業を共同で推進する。

図1 事業のイメージ 出典:IHI環境エンジニアリング

 今回の共同研究の舞台となる滝川市は北海道のほぼ中央部、道内有数の米の産地である空知地区に位置する。年間の米収穫量は約1万2000トン。2013年に「滝川市環境都市宣言」、2014年には「滝川市環境基本条例」を制定した他、2015年には次世代エネルギーパークとして国から認定を受けるなど、環境配慮型のまちづくりを推進している。人口は約4万1000人。

 IKEはIHIグループ内で環境関連の専門会社として水処理施設、廃棄物処理施設、その他環境管理設備およびこれに関する機械器具の設計、製造、据付、保守管理、運転維持管理、販売に関する事業を展開している。

 ラサ工業は、高純度リン酸塩や高機能塩化鉄を製造する「化成部門」、高純度)無機素材を製造する「電子材料部門」および破砕機、選別機、掘進機を製造する「機械関連部門」を軸とした事業を行う。

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