発電機を搭載した5人乗り電気自動車、ガソリンを燃料に走り続ける蓄電・発電機器(1/2 ページ)

日産自動車が新しいタイプの5人乗り電気自動車を発売した。発電専用のガソリンエンジンで作った電力をバッテリーに蓄えながら、モーターだけで走る仕組みになっている。従来の電気自動車のように充電する必要がなく、しかも同型のガソリン車と比べて燃費を約1.4倍に改善できる。

» 2016年11月04日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 これは電気自動車なのか、それともハイブリッド車なのか。しかし内部の構造はどちらとも違う。日産自動車が11月2日に発売した「NOTE e-POWER」は従来の5人乗りガソリン車「NOTE」と外観が同じだが、ガソリンエンジンとモーターの両方を搭載している(図1)。

図1 「NOTE e-POWER」の外観。出典:日産自動車

 ただしガソリンエンジンでは走らずに、エンジンを回して電力を作ってモーターだけで走る。エンジンとモーターを組み合わせて走るハイブリッド車ではなくて、ガソリンエンジン発電機を搭載した電気自動車である(図2)。バッテリーだけを搭載した電気自動車と違って、充電を必要としない点が最大の特徴だ。ガソリンを補充しながら長距離を走ることができる。

図2 自動車を駆動するパワートレインの構造の違い。出典:日産自動車

 発電専用のエンジンには発電モーターが組み込まれている。ガソリンを燃料にエンジンが回転して、モーターで発電した電力を駆動用バッテリーに蓄電する仕組みだ(図3)。さらにバッテリーから駆動モーターに電力を供給して回転力で走る。

図3 「NOTE e-POWER」の電力の流れ。出典:日産自動車

 この駆動モーターと電力変換用のインバーターは電気自動車の「日産リーフ」に搭載しているものと同じだ(図4)。モーターの最高出力は80kW(キロワット)を発揮する。駆動用バッテリーも同様にリチウムイオン電池を採用したが、リーフのように大量の電力を蓄えておく必要がないために小さな容量で済む。

図4 「NOTE e-POWER」のパワートレインの配置と特徴。出典:日産自動車

 高価なリチウムイオン電池が小容量で済んだことで価格を安く抑えることができた。本体価格はグレードによって139万円〜224万円と手ごろな範囲だ。一方の日産リーフは247万円〜407万円でワンランク上の価格帯に入る。

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