洋上風力の「最安値」、再生エネ100%を支える自然エネルギー(1/2 ページ)

割高なことが欠点だとされてきた洋上風力発電の競争力が、大幅に高まりそうだ。出力600メガワットの発電所が、1キロワット時当たり約5.7円という価格で落札、建造が始まる。これは火力発電のうち最も低コストな石炭火力を下回る水準だ。

» 2016年11月14日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
図1 デンマークと発電所の位置

 洋上風力発電のコストが火力発電を下回った。それも大幅に。

 スウェーデンの電力事業者であるバッテンフォール(Vattenfall)は、2016年11月9日、バルト海上に建設を予定するKriegers Flak洋上風力発電所(出力600メガワット、MW)を落札したと発表した(図1)。

 落札価格はメガワット時当たり49.9ユーロ(1キロワット時当たり約5.7円、1ユーロ115円換算)と安価だ。Vattenfall Windの社長であるGunnar Groebler氏によれば、公募時の上限価格を58%下回る金額だという。

 洋上風力発電はこれまで大規模な商業化が進む太陽光発電や風力発電の中でも、最も発電コストが高い発電方式だとされてきた(図2)。これを一気に覆す結果だ。

図1 主要な再生可能エネルギーによる発電コスト(LCOE) 縦軸が発電コスト。濃い青が従来考えられてきた洋上風力の発電コストの分布。メガワット時当たり100ドル程度が下限だった。図最下部の%表示は資金調達に必要な金利を示した割引率。現在の投資環境下では3%が妥当だ 出典:IEA・NEA(Projected Costs of Generating Electricity 2015 Edition)

 世界各国の発電を支えている化石燃料による発電と比較しても、大幅に下回る数値であり、原子力と互角の水準にあるといえるだろう(図3)。

図3 ガス火力、石炭火力、原子力の発電コスト(LCOE) 出典:IEA・NEA
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