2015年度の国内エネルギー消費量が1990年度を下回る、企業の省エネが貢献エネルギー管理(1/2 ページ)

電力や自動車の燃料を含む国内の最終エネルギー消費量が2015年度に1990年度の水準を下回った。過去26年間で最低の水準になり、特に企業のエネルギー消費量が減っている。燃料の種別では石油と原子力が大幅に減少する一方、石炭・天然ガス・再生可能エネルギーが増加した。

» 2016年11月22日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 資源エネルギー庁が11月18日に発表した2015年度のエネルギー需給実績(速報)によると、国内の最終エネルギー消費量は前年度から1.8%減って、2011年度から5年連続で縮小した(図1)。この結果、1990年度の水準を初めて下回った。

図1 国内の最終エネルギー消費量の推移。PJ:ペタジュール(1PJは原油換算で2万4000トン)。出典:資源エネルギー庁

 最終エネルギー消費量は過去40年間にわたって増え続けてきたが、東日本大震災が発生した2011年度を機に減少傾向に転じている。エネルギーの種類別の消費量を震災前の2010年度と比較すると、石油が9.0%減少したほか、電力も9.5%減少した。代わって都市ガスが11.5%増加したほか、再生可能エネルギー(未利用エネルギーを含む)が50%以上の大幅な伸びを示している。

 エネルギーを消費する場所で企業・運輸・家庭に分けてみると、全体の6割以上を消費する企業部門の削減量が大きい(図2)。2010年度から5年間で9.0%減って、1990年度と比べても4.5%少ない。震災前から省エネに取り組んできた成果の表れだ。

図2 部門別の最終エネルギー消費量の推移。PJ:ペタジュール。出典:資源エネルギー庁

 一方で家庭部門と自動車や鉄道を中心とする運輸部門では、震災前よりもエネルギー消費量は減っているものの、まだ1990年度の水準は上回っている。家庭部門は11.3%増、運輸部門は2.3%増の状態にある。社会全体でエネルギーを大量に消費する構造を変えるには時間がかかる。

 その中で非製造業の省エネが急速に進んでいる。製造業のエネルギー消費指数が10年前の2005年度と比べて3.1ポイントしか下がっていないのに対して、非製造業(第3次産業)では10年間で20ポイント以上も低下した(図3)。震災前の2010年度と比べても10ポイント以上の減少になっている。

図3 製造業と非製造業のエネルギー消費状況。PJ:ペタジュール。出典:資源エネルギー庁

 同様に家庭のエネルギー消費量も震災を機に大幅に減り始めている。1世帯あたりのエネルギー消費量は5年間で約20%も少なくなった(図4)。1人あたりの消費量で見ても約15%の減少だ。省エネの取り組みが家庭にも広がってきた状況が見てとれる。

図4 家庭のエネルギー消費状況。GJ:ギガジュール(1GJは原油換算で24キログラム)。出典:資源エネルギー庁
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