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» 2017年01月16日 11時00分 UPDATE

自然派新電力が開くエネルギーの未来(3):自治体新電力の草分け、みやまスマートエネルギーの戦略とは (1/3)

自然エネルギー志向の消費者ニーズに応え、それぞれに多様な価値を提案する自然派新電力をリポートする本連載。第3回では、自治体主導による新電力の草分けとして知られる「みやまスマートエネルギー」をフィーチャーする。いち早く電力小売を開始した同社だが、はたしてその取り組みは成功裡に進んでいるのか? そもそも、なぜ自治体が新電力に取り組むのか? その意義と現状を探った。

[廣町公則,スマートジャパン]

JR九州の電力の約3分の2を賄い、東京都環境公社を支援する

 みやまスマートエネルギーは、福岡県みやま市に本拠を置く新電力会社。市が中心となって、2015年2月に設立した。資本金2000万円のうち55%をみやま市が出資、5%を筑邦銀行、40%を地元企業・九州スマートコミュニティが出資する。人口4万人にも満たない同市だが、その活躍は市のレベルを大きく超える。

 電力の販売先は、みやま市内を中心としながらも、「JR九州」が駅で使う電力の約3分の2を供給するなど九州全域におよぶ。2016年4月には、電力小売事業に新規参入した東京都環境公社と協定を結び、同公社の需給管理をサポートする技術支援もおこなっている。みやまスマートエネルギーは、自治体新電力の先駆けであるばかりでなく、既にその成功モデルとして確固たる地歩を築いているのだ。

図1 みやまスマートエネルギーの3本柱 出典:みやまスマートエネルギー

エネルギー地産地消を通して、地域経済活性化を目指す

図2 みやまスマートエネルギー代表取締役の磯部達氏。1981年、松下電工(現パナソニック)入社、サイアム松下(タイ)取締役、住建事業戦略部長、システム設備事業統括部長などを経て、2015年3月より現職

 同社は、エネルギーの地産地消による地域経済活性化と、公共エネルギーサービスによる地域問題の解決を目的に設立された。地域問題とは、市の人口減少に歯止めをかけることであり、そのための雇用創出や生活支援サービスの拡充などだ。程度の差こそあれ、それらは地方が抱える共通のテーマであるだけに、全国から関心が寄せられるのも頷ける。

 みやまスマートエネルギー代表取締役社長の磯部達氏は次のように話している。「地域のなかで、市民と一緒にエネルギーをつくり、それを販売する。その収益を、高齢者の見守りサービスなど生活支援サービスに役立てていく。そして、そういう活動を、地元の企業・商店が元気になるような産業振興につなげていく。これが大事な3本柱です。市民の方々に住んでいて良かったと思っていただくとともに、いったん市を離れた人にも帰ってきてもらえるようなまちにする。みやまスマートエネルギーが、その呼び水になればと考えています」

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