電車を「風力100%」で運行、オランダ鉄道自然エネルギー(1/2 ページ)

公共交通機関を再生可能エネルギーだけで動かす。化石燃料削減と二酸化炭素排出量0に向かう目標だ。オランダ最大の鉄道事業社であるNSは、2017年1月1日から全ての電車を風力発電由来の電力で運行し始めた。オランダは自動車でも同様の取り組みを進めようとしている。

» 2017年01月16日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 オランダの鉄道事業者Nederlandse Spoorwegen(NS)が、世界初の記録を打ち立てた。2017年1月1日から、国内の全ての電車を風力発電に由来する電力だけを使って運行し始めたのだ*1)

 同社は旧オランダ国鉄の旅客輸送部門。国内で1日当たり120万人が利用するオランダ最大の鉄道事業者だ*2)

 同社のCEOであるRoger Van Boxtel氏はビデオメッセージの中で「風車が1時間発電すると、電車はユトレヒトから(直線距離で約160km離れた)フローニンゲンまで走行できる。オランダは何世紀も風力を利用しており、風車の力を自ら示したい」と発言。自ら風車にくくりつけられて一回転するパフォーマンスを見せた(図1、図2)。

 NSは、Boxtel氏の発言にあった数字を換算した値も公表している。風車1基が1時間発電することで、電車を193km(120マイル)運行できるということだ。

 同氏によれば、風力発電由来の電力に切り替えたことで電車の運行に必要なエネルギーコストが下がったという。

*1) オランダの鉄道の密度は世界有数だ。国土面積は日本の1割に相当する3万7000平方キロメートル(km)。ここに2014年時点で総延長3223km(日本は2万7311km)の鉄道網を敷き詰めている。電化区間は2321km。なお、同国の人口は1680万人。
*2) NSはオランダ国内や英国、ドイツでバスや公共用自転車部門なども運営しており、鉄道と合わせて1日当たり230万人を輸送している。

図1 NSのCEOであるRoger Van Boxtel氏 古風な風車にくくりつけられたところ 出典:オランダNS
図2 NSの路線とBoxtel氏 風車とともに一回転したところ。かなり寒かったという感想を述べた 出典:オランダNS
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