バイオガス発電で年間1億円の売電収入、下水処理コストを低減自然エネルギー(1/2 ページ)

愛知県の東部にある下水処理場で2月1日にバイオガス発電事業が始まる。民間の資金やノウハウを活用するPFI方式を採用して、バイオガス発電設備と合わせて下水汚泥の処理施設も更新した。年間に770世帯分の電力を供給できる見込みで、売電収入の10%が県に入る契約だ。

» 2017年01月25日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 新たにバイオガス発電を実施する下水処理場は、愛知県営の「豊川浄化センター」である。県東部の豊川市の全域と豊橋・蒲郡・新城の3市の一部を対象に、1980年から下水処理を続けている(図1)。老朽化した下水汚泥処理施設の更新と同時にバイオガス発電設備を導入して、再生可能エネルギーの拡大と処理コストの低減に取り組む。

図1 「豊川浄化センター」の所在地と下水処理対象区域。出典:愛知県東三河建設事務所

 下水の処理では汚泥を濃縮してメタンで発酵させる方法が一般的だ。発酵に伴って発生するバイオガスを燃料として利用できる一方、発酵後の汚泥を脱水・焼却して処分する(図2)。豊川浄化センターでは濃縮から発酵・脱水までの汚泥処理施設を改築したうえで、2月1日からバイオガスを燃料に発電を開始する予定だ。

図2 「豊川浄化センター」の下水汚泥処理とバイオガス利活用の流れ。出典:愛知県建設部

 発電能力は549kW(キロワット)で、年間の発電量は277万kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して770世帯分に相当する。発電した電力は固定価格買取制度を通じて1kWhあたり39円(税抜き)で売電して、年間に1億800万円の収入を見込む。

 汚泥処理施設の更新とバイオガス発電設備の導入・運営には、民間の資金やノウハウを活用するPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)方式を採用した。水処理事業大手のメタウォーターグループと中部電力グループのシーエナジーがPFIによる事業を請け負った。共同出資による特別目的会社(SPC)の「愛知クリーンエナジー」を設立して、汚泥処理施設の改築とバイオガス利活用施設の建設・運営にあたる(図3)

図3 PFI方式による事業の対象範囲(画像をクリックすると拡大)。出典:愛知県建設部
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