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» 2017年02月10日 07時00分 UPDATE

自然エネルギー:世界最大級6MWの水素製造プラント、電力貯蔵と製鉄のCO2を削減 (1/2)

ヨーロッパの電力会社や製鉄会社が共同で世界最大級の水素製造プラントの建設に乗り出す。オーストリアの製鉄所にプラントを建設する計画で、2019年の運転開始を見込んでいる。再生可能エネルギーによる電力を使ってCO2フリーの水素を製造しながら、電力の貯蔵と製鉄に水素を活用する。

[石田雅也,スマートジャパン]

 オーストリア北部のリンツ(Linz)市で世界最大級の水素製造プラントを建設するプロジェクトが始まった。大手製鉄会社のフェストアルピーネ(Voestalpine)が運営する製鉄所の構内に建設する(図1)。オーストリア最大の電力会社フェアブント(Verbund)と送配電会社のオーストリアンパワーグリッド(APG)、さらにドイツのシーメンス(Siemens)が加わって有力企業による連合体で取り組んでいく。

図1 フェストアルピーネの製鉄所(オーストリアのリンツ市内)。出典:Voestalpine Giesserei Linz

 このプロジェクトは「H2FUTURE」と名づけられ、2017年1月から2021年6月まで4年半をかけて実施する。テーマは3つある。第1に再生可能エネルギーの電力で水を電気分解して、CO2(二酸化炭素)を排出しない水素を製造する。第2に水素を製造・貯蔵することによって電力の安定供給を図る。第3に製鉄のプロセスに水素を適用してCO2を削減する。

 水素製造プラントは最大6MW(メガワット)の電力から水素を製造できる。2019年に完成する予定で、世界で最大級のCO2フリー水素の製造プラントになる見込みだ。水素製造装置にはシーメンスの技術を採用する。

 シーメンスは「プロトン(水素イオン)交換膜」を備えた水素製造装置を製品化して、ドイツ国内を中心に導入実績を増やしている(図2)。プロトン交換膜は燃料電池にも使われていて、燃料電池と逆の仕組みで水と電力から水素と酸素を製造できる。

図2 ドイツで稼働中の水素製造装置。出典:Siemens

 シーメンスの最新の水素製造装置は1台あたり最大1.25MWの電力を使って、1時間に225Nm3(ノルマル立方メートル)の水素を製造できる(図3)。この製造量は燃料電池自動車4.5台分に相当する。オーストリアに建設する水素製造プラントに同じ能力の装置を適用した場合には、1時間あたり燃料電池自動車21.6台分のCO2フリー水素を製造することが可能になる。

図3 シーメンスの水素製造装置「SILYZER 200」(画像をクリックすると拡大)。出典:Siemens

 水素の製造に利用する電力は、フェアブントが運営する水力発電所を中心に供給する。フェアブントはオーストリア国内で合計7700MWにのぼる水力発電所を運営するほか、風力発電を含めて再生可能エネルギー主体の電力を供給してCO2の削減を推進している。

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