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» 2017年02月22日 11時00分 UPDATE

蓄電・発電機器:CO2回収・貯留技術を実用化へ、2030年までに石炭火力発電所に適用 (1/2)

地球温暖化対策としてCO2回収・貯留(CCS)技術の開発が大きな課題だ。石炭火力発電所が数多く稼働する日本では2030年までにCCSの実用化を目指す。北海道の沖合の地中にCO2を貯留する実証試験が進み、広島県や福岡県の石炭火力発電所ではCO2回収設備が2020年度までに運転を開始する。

[石田雅也,スマートジャパン]

 環境省は大量の二酸化炭素(CO2)を回収して地中に貯留する「CCS(CO2 Capture and Storage、CO2回収・貯留)」の取り組み状況をまとめて2月20日に公表した。その中でCCSの実用化に向けて主要な技術や建設用地を確保しておく「CCS Ready」の重要性を強調している。

 CCSは火力発電所や製鉄所など大量のCO2を排出する設備からCO2を分離・回収したうえで、回収したCO2を地中の深くまで圧入して貯留する。CO2の排出量を削減する対策として欧米の先進国で実証プロジェクトが進んでいる。日本でもCO2を分離・回収する設備の実証試験と並行して、回収したCO2を利用できるバイオ燃料の製造やCO2を地中に貯留する大規模な実証試験が始まっている(図1)。

図1 「CO2回収・利用・貯留」の取り組み(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 環境省がまとめた国内のCCSプロジェクトは6つある。そのうち2つは実証試験を完了して、残る4つが進行中だ(図2)。貯留に関しては北海道の苫小牧市の臨海工業地帯で大規模な実証プラントが2016年4月に運転を開始した。一方のCO2回収プラントは広島県と福岡県の石炭火力発電所で建設プロジェクトが進んでいる。

図2 日本国内のCCSプロジェクト。IGCC:石炭ガス化複合発電。出典:環境省

 苫小牧市で実施中のCO2貯留の実証試験は、電力会社や石油会社などが2008年に共同で設立した「日本CCS調査」が取り組んでいる。隣接する製油所で発生するCO2を含んだガスをパイプラインで取り込み、CO2を分離・回収してから圧入装置を経由して、地中の「圧入井(あつにゅうせい)」に送り込む仕組みだ(図3)。

図3 「苫小牧CCS実証試験センター」の全景(上)、設備構成(下)。出典:日本CCS調査

 圧入井は苫小牧の沖合の海底にある2層の貯留層まで伸びていて、年間に10万トン以上のCO2を貯留できる(図4)。ただし大規模な石炭火力発電所が排出するCO2は年間に500万トンにものぼることから、実用化には貯留量の拡大が必要になる。苫小牧の実証試験は2020年度まで続けて、地震による影響やCO2の漏出による海水と海洋生物に対する影響などを観測する。

図4 CCS実証試験の全体像(画像をクリックすると拡大)。出典:日本CCS調査
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