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» 2017年03月13日 09時00分 UPDATE

電力供給サービス:清掃工場から公共施設へ電力の地産地消、年間1億円以上のコスト削減 (1/2)

静岡市は7年間にわたるエネルギーの地産地消に2017年度から取り組む。清掃工場で発電する電力の余剰分や地域の電源で作る電力を組み合わせて、市役所の庁舎など281カ所の公共施設に供給する。合わせて80カ所の小中学校に蓄電池を設置して「仮想発電所」を展開する計画だ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 自治体と小売電気事業者が連携して再生可能エネルギーの地産地消に着手する。静岡市に本拠を置く鈴与商事が「静岡市エネルギーの地産地消業務」を市から受託した。両者は3月9日に基本契約を締結、4月1日から業務を開始する予定だ。

 地産地消の業務は3つの分野で構成する(図1)。第1に静岡市が運営する2カ所の清掃工場で発電した電力の余剰分を鈴与商事が買い取る。その電力を含めて市内281カ所の公共施設に電力を供給することが第2の業務だ。さらに第3の業務として80カ所の小中学校に蓄電池を設置して地域の防災機能を強化する。契約期間は2024年3月末までの7年間に及ぶ。

図1 「静岡市エネルギーの地産地消業務」の実施スキーム。出典:鈴与商事

 この長期契約を通じて静岡市は電力の調達コストを大幅に削減するほか、再生可能エネルギーを多く含む電力を地産地消することでCO2(二酸化炭素)の排出量を削減する狙いだ。試算では7年間の電力調達コストを約8億8000万円も低減できる見込みで、年間で約1億2500万円の経費削減になる(図2)。

図2 静岡市が見込むエネルギー地産地消の効果。出典:鈴与商事

 静岡市は小売電気事業者に地産地消業務を委託するにあたって競争入札を実施した。応募したのは県内に本社を置く静岡ガス&パワーと鈴与商事の2社だった。余剰電力の買取額と電力の販売額ともに鈴与商事が好条件を提示して落札した。

 静岡市が運営する清掃工場は「沼上(ぬまがみ)清掃工場」と「西ケ谷(にしがや)清掃工場」の2カ所ある。ごみの焼却に伴って発生する熱や可燃性ガスを利用して発電している(図3)。両方を合わせた発電能力は2万2390kW(キロワット)に達する。

図3 「沼上清掃工場」の全景と発電機(上)、「西ケ谷清掃工場」の全景と発電機(下)。出典:静岡市

 発電した電力は工場内で消費する分を差し引いても大量に余る。契約期間の7年間の合計で3億1300万kWh(キロワット時)にのぼる予定だ。このうち沼上清掃工場の電力にはバイオマスを含んでいる。西ケ谷清掃工場は固定価格買取制度の認定を受けているため、非バイオマスの電力を余剰分として供給する。鈴与商事は7年間にわたって総額27億7000万円で電力を買い取る。

 一方で281カ所の公共施設が使用する電力量は7年間の合計で9億6300万kWhを見込んでいる。鈴与商事の提示額は176億8000円で、1kWhあたり18円強になる計算だ。鈴与商事は清掃工場の余剰分に加えて県内外から電力を調達する。静岡市内の電源による地産地消の比率は約4割になる。電力の消費に伴うCO2排出量は281カ所の合計で10%削減できる見通しだ。

 小中学校には出力10kWの蓄電池を設置する。静岡市は市内の小中学校を地域防災拠点に位置づけている。蓄電池は80校に設置する予定で、ネットワークで結んで「仮想発電所(バーチャルパワープラント)」を構築する計画だ。仮想発電所は地域内の発電設備や蓄電池を組み合わせて、1つの大きな発電所と同じように電力を供給できる(図4)。

図4 「仮想発電所(バーチャルパワープラント)」の展開イメージ。IoT:Internet of Things(モノのインターネット)。出典:資源エネルギー庁

 静岡市のケースでは鈴与商事がアグリゲータとして仮想発電所を運営しながら、電力の需給バランスをコントロールする体制になる。地域の電力需給がひっ迫した時には需要を抑制するデマンドレスポンスを実施するほか、災害時には防災拠点の小中学校に地域内の発電設備と蓄電池から電力を供給する仕組みだ。

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