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» 2017年03月15日 07時00分 UPDATE

自然エネルギー:100℃以下の温泉水で地熱発電、温泉の町がCO2フリーの電力を地産地消 (1/2)

火山地帯の北海道・洞爺湖町で地熱発電が始まった。温泉組合と町が事業者になって、100℃以下の温泉水を利用できるバイナリー方式の発電設備を稼働させた。CO2を排出しない電力を生み出して、周辺のホテルや旅館まで温泉水を配湯する。環境を重視する温泉町の魅力で観光客を増やす狙いだ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 洞爺湖町(とうやこちょう)は札幌市から南西へ100キロメートルほどの距離にある風光明美な場所だ(図1)。湖の北西側に沿って町が広がり、近くには活火山で知られる有珠山(うすざん)や昭和新山がそびえる。豊富な地熱資源を生かした発電事業が湖畔の温泉街で3月10日に始まった。

図1 洞爺湖町の位置(右上)、洞爺湖の景観。出典:洞爺湖町役場

 地元の洞爺湖温泉利用協同組合と洞爺湖町が2013年度から地熱資源の開発を進めてきた。開発の対象になった場所は湖の南西の端にある金比羅山(こんぴらやま)の周辺で、湖畔に広がる温泉街からも近い。国の支援を受けて地下1100メートル地点まで掘削したところ、99.8℃の温水が毎分505リットルも湧き出ることを確認できた(図2)。さらに既存の温泉に対する影響もなかった。

図2 洞爺湖町内で実施した地熱資源調査。出典:内閣官房

 そこで100℃以下の温水でも発電できるバイナリー方式のシステムを導入して事業化に乗り出した。採用したバイナリー発電設備は神戸製鋼所の小型システムで、発電能力は72kW(キロワット)である(図3)。

図3 導入した小型バイナリー発電システム。出典:神戸製鋼所

 地熱発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は標準で90%に達することから、72kWの発電能力で年間に57万kWh(キロワット時)の電力を供給できる見込みだ。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して158世帯分に相当する。

 バイナリー発電システムを収容した施設は町の一角にあり、冬のあいだは一面が雪に覆われる(図4)。この施設で発電した電力は周辺地域のホテルや旅館に温泉水を配湯するためのヒートポンプの動力として自家消費する方針だ。

図4 地熱発電施設の外観。出典:神戸製鋼所
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