四国電力と住友商事が宮城県の臨海工業地帯で石炭火力発電所を建設する計画に着手した。石炭に木質バイオマスを30%混焼させてCO2排出量を大幅に低減する方針だが、それでもLNG火力発電の2倍近い排出量になる。2021年度に運転を開始する予定で、地域の復興にも貢献する狙いがある。
東北地方の広域物流拠点である仙台塩釜港(宮城県仙台市)の工業専用地域で、新しい石炭火力発電所を建設するプロジェクトが始まった(図1)。四国電力と住友商事が共同で事業化を進める「仙台高松発電所(仮称)」である。両社は発電所の建設に向けて、3月14日に環境影響評価の手続きを開始した。
発電能力は11万2000kW(キロワット)の想定で、石炭火力発電所の中では小規模に入る。国の環境影響評価法では11万2500kW未満の火力発電所は建設にあたって手続きが不要だが、仙台市では2016年5月に施行した条例によって3万kW以上の火力発電所に環境影響評価を義務づけている。国の手続きと同様に「方法書」「準備書」「評価書」の3段階を経て、市や住民の意見を建設計画に反映する必要がある(図2)。
四国電力と住友商事が公表した第1段階の方法書によると、2018年度の上期に環境影響評価の手続きを完了して下期から建設工事に着手する(図3)。約2年半の工事期間の後に、2021年度の初めに営業運転を開始する予定だ。発電した電力の供給先は明らかになっていないが、四国電力に加えて住友商事グループの小売電気事業者が東北エリアを中心に販売する可能性が大きい。
石炭火力発電はCO2(二酸化炭素)の排出量が多いことから、環境省が発電所の新設計画に難色を示している。四国電力と住友商事は国と県の温暖化対策を重視して、石炭に木質バイオマスを加えて混焼する方法でCO2排出量を低減させる(図4)。木質バイオマスの混焼率は発熱量ベースで30%を想定している。
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