容量9.8kWhの小型リチウムイオン蓄電システム、伊藤忠蓄電・発電機器

伊藤忠商事は、家庭用リチウムイオン蓄電システムの新モデル「Smart Star L」を2017年5月から発売した。定格容量は、標準世帯における約1日分の消費電力をまかなえる9.8kWhである。

» 2017年05月17日 13時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

特定のコンセントに制限されない機能も

家庭用リチウムイオン蓄電システム「Smart Star L」 出典:伊藤忠商事

 伊藤忠商事は、家庭用リチウムイオン蓄電システムの新モデル「Smart Star L」を2017年5月から発売した。高エネルギー密度のリチウムイオン電池を採用したことで、大容量化とコンパクト化を実現。定格容量は、標準世帯における約1日分の消費電力をまかなうことができる9.8kWh(キロワット時)。サイズは約762mm×約1145mm×約440mmだ。重量は約195kgとなっている。希望小売価格は、285万円(税別、工事費別)である。

 停電の際の自立運転時でも、エアコン、IHクッキングヒーターなどの200V機器を稼働させることができ、特定のコンセントに制限されない機能を備えている。また太陽光発電との親和性も良く、停電時でも太陽光発電を通常通り稼働できる特徴も備えているという。開発・製造元はエヌエフ回路設計ブロックである。

 太陽光発電は今後さらに普及するといわれているが、送配電系統への負担増加や複雑な需給調整などの課題があり、蓄電システムの併設が注目を集めている。日本でも、住宅用太陽光発電の固定価格買取制度期間が順次満了となることから、発電した電気を自家消費するうえでも蓄電システムの重要性はますます高まると考えられている。

 伊藤忠商事では主要電池原料・部材や蓄電システムの販売など、グループネットワークを生かしたバリューチェーンを構築しており、環境に優しいビジネスとしてリチウムイオン電池関連事業を推進中だ。電力系統安定の調整余力として、同システムを活用したVPP(バーチャルパワープラント)ビジネスの展開も見据えている。

 VPPは点在する太陽光発電や蓄電池などの分散エネルギー源を、電力系統の需給に合わせて、あたかも1つの発電所(仮想発電所)のように統合的に制御する次世代電力ビジネスモデルである。同社は新製品の販売を通じて、日本の再生可能エネルギーの効率運用、電力供給安定化、分散型エネルギー社会実現に向けて貢献して行く方針とした。

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