丸紅が電力小売にAI、市場分析に日立「Lumada」を導入IT活用

丸紅は国内の電力小売事業における市場分析に、日立のIoTプラットフォーム「Lumada」を導入。AIなどを活用し、市場分析手法の高度化を目指すという。

» 2018年06月05日 11時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 丸紅は2018年5月、日本国内で展開する電力小売事業で、日立製作所の協力により、AI(人工知能)を活用した高度な市場分析モデルの本格導入を開始したと発表した。同モデルは、AIやビッグデータ解析など、最新のデジタル技術で構成される日立のIoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」を活用して、丸紅が国内電力小売事業の市場分析手法を高度化する独自モデルとして構築した。

 2016年4月に行われた電力小売の完全自由化に伴い、新電力事業の市場規模は毎年3〜4%の拡大を続けている。丸紅は、日本国内を電力供給の注力市場1一つと位置づけ、子会社である丸紅新電力を通じ、需要家へ約5000GWh(2017年度)を供給しているが、市場規模の拡大に伴い、市場分析手法の高度化は重要な課題となっている。

 両社は2017年8月から同モデルについて検討を進め、丸紅の実績・ノウハウに基づくアルゴリズムを活用したデータ解析手法と、日立が小売り・流通分野などの需要予測向けに開発した機械学習エンジンを掛け合わせて、独自モデルを構築した。

同モデルを活用して、電力の取引価格や需要傾向などを分析・予測する検証を行ったところ、業務改善とコスト削減に一定の効果が実証されたため、このほど本格導入の開始に至った。

 丸紅は、2017年4月1日に新設した「IoT・ビッグデータ戦略室」を2018年4月1日から「デジタル・イノベーション部」と改組し、デジタル技術の活用による新たなビジネスモデルの創造を推進している。同モデルの活用により、丸紅が強みをもつ電力事業分野での競争力をさらに強化するとともに、他分野への応用も視野に入れ、日本の産業構造の効率化に貢献することを目指す。

 日立は、長年、幅広い事業領域で蓄積してきたOT(オペレーショナル・テクノロジー)と、先進のITを組み合わせたLumadaの実績・ノウハウをもとに、丸紅が推進するデジタル技術の活用による新たなビジネスモデルの創造に向けた取り組みを支援する。

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