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» 2018年11月05日 07時00分 公開

ソーラーシェアリング入門(5):ソーラーシェアリングの成功に欠かせない、農作物の選定と設備設計のポイント (1/3)

太陽光発電と農業を両立する手法として、近年、国内で大きな期待と注目を集めている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」について解説する本連載。今回はソーラーシェアリングの成功に欠かせない、農作物の選定と設備設計のポイントについて解説する。

[馬上丈司 千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役,スマートジャパン]

ソーラーシェアリングの作物はさまざま

 田、畑、牧草地、果樹園などがある中で、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)において、どのような作物が栽培されているかということを詳細に調査した、公的あるいは学術的なデータは多くありません。農林水産省が公表したソーラーシェアリングの大規模事例では、牧草、榊(さかき)、高麗人参、シキミ、ミョウガ、ショウガ、茶などが並んでいますが、農産物ではあるが、日常的になじみがないもの、大規模な畑で生産されるイメージがない作物ばかりです。

 私が関わっているソーラーシェアリングでいうと、米、大麦、小麦、大豆、キャベツ、レタス、サツマイモ、ジャガイモ、サトイモ、明日葉、小松菜、イチゴ、ブルーベリー、ミカン、ニンニク、落花生、大根、人参、茶、梨、牧草など、本当に幅広い作物が栽培されています。いずれの作物も、まず設備の下で育てる作物を決定し、それに応じて太陽光パネルの配置・遮光率・支柱間隔などの設計を最適化していくことにより、ソーラーシェアリングの設備下で品質や収穫量を落とすことなく栽培することが出来ます。

サトイモの生育例
夏いちごの生育例

作るだけでなく、販路の事前検討も重要に

 この設計の順番を間違えると、農林水産省が2018年5月に公表したように「農産物の生産に支障がある事例」になってしまうことがあります。ソーラーシェアリングを行う上での作物選定は、現在耕作されている農地であれば、それまで通りの作物を生産し続けることが望ましいですし、耕作放棄地・荒廃農地を再生する場合にはまず農地の地力回復を考えたり、その土地の気候風土に適した作物を選定したりすることが必要です。

 また、私が関わってきた事例の中でも、「こういった作物を作りたい」ということは決まっていても、育てた作物を「こういった販路で出荷していく」といった販売の戦略については具体的に決まっていないという例が多々あります。作物によっては、地元の農協をはじめとした出荷ルートがなかったり、選果場などがないために独自の設備投資を要したりと地域の事情で出荷のハードルが変わってきます。加工品にまでするかといった視点は別として、安定的に出荷できる販路は必ず確保した上で、生産する作物を決定することが非常に重要です。

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