生成AIのビジネス活用が進む中、AIの積極的な活用によって「病院DX」に取り組んでいる医療機関がある。愛媛県四国中央市にあるHITO病院がその1つだ。
HITO病院は愛媛県四国中央市にある228床のケアミックス型救急病院。中規模の病院で、救急診療から緩和ケアまで幅広い医療サービスを提供している。
同病院の脳神経外科部長で、DX推進室CCTO(Chief Clinical Technology Officer)も務める篠原直樹医師は「人として誰からも選ばれ、信頼される病院を目指す」というビジョンのもと、生成AIの積極的な導入を推進している。篠原医師は7月24日、日本マイクロソフトが主催した発表会に登壇し、HITO病院のAI活用例について話した。
篠原医師は、病院が直面する課題として人材不足や答えのない時代における意思決定の難しさを挙げている。これらの課題に対し、連携強化と個々の知能拡張を重視。連携強化にはコラボレーションツールの活用、知能拡張には生成AIの導入が不可欠だと考えている。「一人一人の知識情報は自然に増えてくる。知能拡張に関しては、やはり生成AIが大事じゃないかと思っています」と説明する。
生成AI活用の基盤として、まず全職員にiPhoneを支給した。業務用のチャットツールの導入により、コミュニケーションが自然と浸透していったという。
さらに、iPhoneにCopilotアプリをプリインストールしている。ただし、Copilotアプリの使い方などを説明する機会は設けず、利用するかどうかはスタッフに任せているという。
サイレント導入の結果として、564人の職員がCopilotアプリを利用できる環境を手にした。実際に使用しているのは81人で、全体の15%ほどという。当初想定では事務職員が利用すると予想していたが、実際には看護師などのベッドサイドで働くメディカルワーカーにも多く利用されている。
HITO病院では、電子カルテのデータとAzureのクラウドネットワークを連携させるアーキテクチャを構築。病院の中でのCopilotの実践的な活用事例として5つの使い方を紹介した。
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