「コロプラは画像生成AIを導入します」公表の背景は 同社の意図と実用のいま、CIOに聞いた(1/4 ページ)
2024年12月に、画像生成スタートアップの英Stability AIとのパートナーシップを発表したコロプラ。併せて画像生成AIをゲーム作りに活用する方針も示し、SNSで話題になった。
ゲーム企業においては、開発者向けカンファレンスなどで同業向けにChatGPTなどの活用事例を発信したり、政府の資料で名前が挙がったりする例はこれまでにもあったものの、大手企業が画像生成AIの導入を大々的に公表する例は珍しい。
実は、コロプラではパートナーシップ発表の前から画像生成AIの活用体制を整えており、社内の一部で利用も進めていたという。同社はどんな判断でパートナーシップの締結や、その発表に至ったのか。そしてゲーム企業による画像生成AIの活用体制とは──コロプラの菅井健太さん(上席執行役員 CIO)に直接疑問を投げかけたところ、「ゲーム作り×画像生成AI」の可能性が見えてきた。
生成画像やプロンプトは全記録 コロプラによる画像生成AIの使い方
まず、コロプラがどのような形で画像生成AIを活用しているか整理しておく。コロプラは、Stability AIの画像生成AIモデルの中でも「Stable Diffusion 3」系列や「Stable Diffusion XL」を導入。ゲームの企画者がアイデア出しをしたり、自身のアイデアを視覚化するためのコンセプトアートを作ったりする用途で使うという。
外部にイラストなどを発注する際の参考画像を作成する目的でも利用。これまで文章やラフ画などでイメージを伝えていたが、生成画像を使うことでより発注先にイメージを伝えやすくなったという。
社内活用に当たっては、業務とAIモデルを使うためのツールを審査し、それぞれに機密性のレベルを付与。「このツールは、機密性レベル2の業務までは使っていい」というような使い方の仕組みを整えた。
利用に当たっては、Slack上で使うツールと用途の申請を求める制度も整備。機密性の基準を満たし、申請に許可が出れば、ゲームタイトルや部署を問わず画像生成AIが使えるようにした。ただし、他社IPが絡むゲームについてはこの限りではなく、IPを持つ企業のポリシーに沿う形にしている。
さらに、社員が出力した画像と、生成に使ったプロンプトは全て記録。後から追跡可能にした。これにより、プロンプトに著作権者の名前が入っているなど、著作権侵害につながる可能性のある利用を防ぐ他、同様の画像が業務に利用されたり、画像を参考にしたコンテンツが世に出てしまったりするのを抑止するという。
社内向けのガイドラインも策定した。具体的な文面の公開は控えたが、上述したコンセプトアートやアイデア出しといった利用例に加え、著作権者の名前をプロンプトに入力しないといった注意事項を記載。画像やプロンプトを記録している点も明示した他、機密性の基準も示し、企画の情報など、どんなデータであれば入力していいか、逆にしてはいけないかを定めているという。
ガイドラインには、使うプロンプトによって出やすくなる画像など、ナレッジもまとめた。一連の情報は社内での研修会などでも展開し、周知を図っているという。
導入の目的は、新しいゲーム体験の創出や生産性の向上だ。ただ、現時点では定量的な目標を定めているわけではなく「AIがどんどん進化していくことは間違いないので、慣れておきましょうという観点が強い」(菅井さん)という。
とはいえ、目指すビジョンはもちろんある。コロプラが画像生成AI導入で目指す先や、そのパートナーにStability AIを選んだ背景、そして一連の取り組みを発表した理由は──以降は、菅井さんへのインタビュー形式で伝える。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia AI+に関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
よく見られているカテゴリー
アクセスランキング
-
1
Markdownファイルが、AI時代の負債に? Googleが提案する「ナレッジ標準化」の一手
-
2
MicrosoftやNVIDIAなど、AIのオープンウェイト規制に反対する書簡を公開――Anthropicは署名せず
-
3
AIが破壊するIT業界の“人月商売” 「SIerの死」後に“生き残る者”の正体
-
4
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
5
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
-
6
「KPIは睡眠時間」──オードリー・タンに聞く、日本企業の生産性が上がらない根本原因
-
7
「生成AIで仕事が楽に」のはずが……IT現場を蝕む“AI疲れ・AIうつ”の正体
-
8
NEC森田社長が語る「脱・人月商売」の行方 組織の壁を破るAI人材育成法
-
9
海外の「Claude」や「GPT」ではダメなのか 日本企業向けai&、そのメリットは?
-
10
NVIDIAフアンCEOが語る“日本復活”のシナリオ 10年続く半導体バブルと「原発活用」の勝算
SpecialPR
ITmedia AI+ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmedia AI+をフォロー
あなたにおすすめの記事PR