内閣府の知的財産戦略推進事務局は3月28日、2025年の国の知的財産に関する戦略などをまとめる「知的財産推進計画 2025」の策定に向け、国民に対して実施した意見募集の結果を公表した。個人からの意見全940件のうち、739件が「AIと知的財産」分野に集中。全体の約78%を占め、生成AIの学習などに関して規制を求める声が多く見られた。
同分野では「現在行われている(AIの)データの学習に関してはどう考えても法の方が追い付いてないだけのように思う」などとして、生成AIによる画像や音声の学習に関し、法規制を求める声が多く集まった。一方、規制を求めながらもAIの活用自体は否定せず、「AI生成物に関しては、生成AIの使用の有無や、他者の知的財産の寄与度について開示義務を設け、透明性を確保することが必要」とする意見も見られた。
法人・団体についても同様に意見を募集した。例えばソフトバンクは「特許法同様、AI技術革新に即した意匠法の在り方を議論することに賛同する。一方で、公開されたデザインがAIを用いて創作されたものか否か、現時点での技術や法的枠組みでは正確に把握することが難しい場合がある」「機械的に識別可能で統一的な仕組みや記載ルール(ガイドライン等)を検討頂くことを希望する」といった意見を寄せた。
今回の意見募集は、24年の知的財産推進計画を踏まえたもの。政府は同計画で、生成AI技術の急速な発展により、知的財産権の侵害に対する懸念が増加したと分析。「AI技術の進歩と知的財産権の適切な保護が両立するエコシステム」の実現に向け、生成AIと知的財産の関係をまとめたクリエイター向け資料を公開するなどの取り組みを実施してきた。
これを踏まえ、24年の計画から見直すべき点や、25年の計画で新しく盛り込むべき施策などを募集。24年11月11日から12月20日の間、意見投稿用のWebフォームなどを公開し、AIと知的財産に加え「知財・無形資産への投資による価値創造」「技術流出の防止」など17カテゴリーに分けて意見を募っていた。
なお公開した意見では生成AIを悪用した事例などを挙げているものもあるが、知的財産戦略推進事務局は「寄せられた意見の記載内容について、当事務局として事実関係を確認しているものではない」としている。
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