生成AI導入で「期待を上回る効果」を得た企業の割合は、米国51%、英国50%に対し、日本はわずか13%――PwCコンサルティングが日米英独中の5カ国で実施し、6月に結果を発表した生成AI活用実態調査で、日本企業の効果創出力の低さが浮き彫りになった。
推進度合いでは日本は5カ国中3位で、56%が「活用中」と平均的な水準にある一方、肝心の成果では最下位に。「日本企業の動向は想像通りひどい。毎回同じことを言っている」。調査を主導したPwCコンサルティングの三善心平氏(執行役員パートナー)は率直に語る。
背景には生成AIを単なる「効率化ツール」として捉え、経営層のコミット不足や業務への本格的な組み込みができていない構造的課題がある。とはいえ、日本企業の中にも効果を実感する企業はいる。AIで効果を創出できる企業と、そうでない企業の差はどこにあるのか──調査結果と、三善氏の分析から実態をひもとく。
今回の調査は2025年2〜3月に実施。売上高500億円以上の企業で生成AI導入に関与する課長職以上2642人が回答した。
特徴的だったのは、すでに生成AIを活用している企業のうち「期待を大きく上回る効果」を得た企業の割合だ。51%の米国、50%の英国に対し、日本はわずか13%。24%の中国、28%のドイツと比較しても大きく劣勢だった。
「期待通り」も含めると、米国90%、英国91%、中国94%、ドイツ91%に対し、日本は64%にとどまる。日本企業の3分の1以上が期待未満の結果しか得られていない。
一方で推進度では日本も56%が「活用中」と5カ国中3位の平均的水準にあった。「取り組んではいるが、成果が出ない」のが日本企業の実態といえそうだ。
なぜこれほどまでに効果創出に差が生まれるのか。PwCが調査結果を分析したところ、期待を上回る効果を創出する企業には、国を問わず共通する5つの要因があることが判明したという。
以下、それぞれの要因について詳しく見ていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.