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最新画像生成AI「Nano Banana Pro」は文字ぎっしりの“霞が関パワポ”も作れる? 実際に試した(1/2 ページ)

» 2025年11月21日 13時36分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 米Googleが11月20日(現地時間)に発表した新たなAI画像生成モデル「Nano Banana Pro」(Gemini 3 Pro Image)。すでにさまざまなユーザーがその能力を試している。SNSへの投稿も相次いでおり、性能に注目が集まっている。

 特に日本で注目を浴びているのは、文字の出力性能だ。旧モデル・他モデルでは難しかったインフォグラフィック・スライド資料風の画像も作成しやすいという。その性能たるや、日本の官公庁が作るような情報量の多いスライド資料──俗に“霞が関パワポ”“官僚パワポ”“ポンチ絵”と呼ばれるような画像すら制作できると話題だ。本当にそんなことが可能か、実際に試してみた。

“文字ぎっしりパワポ”もいける? Nano Banana Proのお手並み拝見

 結論から言えば、“霞が関パワポ”“官僚パワポ”の生成は可能だ。文字ぎっしりのパワポも、多少安定しないものの作成できる。ただし“ポンチ絵というワードで生成を指示すると、文字が崩れる場合が多かった。

 というわけでまず、最低限のプロンプトで生成してみたものをお見せする。今回は企業向け「Gemini」上から検証してみた。最初にGemini 3 Proに架空の素材「ナノバナナ」に関する説明文を架空のスライド資料用として書いてもらい、そのまま「官僚用パワポにして」というプロンプトでNano Banana Proに生成させてみた。

 スライドが映った画面を“直撮り”したような見た目になったり、文字が枠からはみだしたりすることもあるが、基本的にかなりそれっぽいものが出てくる。ちなみにGeminiのUI上では文字などが破綻して見えることもあるが、PCにダウンロードすると修正される場合があった。ダウンロードにやや時間がかかるので、高解像度処理などをしているのだろうか。

 次に「ポンチ絵にして」と依頼してみるとこんな感じ。今度はナノバナナではなく普通にバナナの資料を作らせてみたが、こちらはダウンロードしたものでも若干文字が破綻しやすかった。

 ちなみに文章を用意せず「ポンチ絵を作って」とだけ依頼すると官公庁っぽくなりにくいので注意が必要になる。

 とはいえ、これでも旧モデル「NanoBanana」よりは優秀だ。というのも、そもそも旧NanoBananaは「官僚用パワポ」「ポンチ絵」とだけ説明されてもその概念を理解できず、先述したような頼み方だと「プロジェクターで投影したスライド資料」のような画像を生成する。文字もかなり破綻する。

 一方で、Nano Banana Proについては先述した「ポンチ絵にして」と依頼したケースでも、大きな文字は比較的きれいに出力できている。細かい部分も、後から指摘して修正できた。


 とはいえ、見た目がそれっぽければ良いというわけでもなく、Nano Banana Proが官公庁のスライド作りで活躍するとは思わない。ただレイアウトのイメージはつきやすくなるので、官公庁に限らずスライド作りの参考としては役立つかもしれない。“官公庁パワポ”っぽい広告作りもしやすくなるだろうか。

 ここまで細かい文字出力が可能なら、バナーやキャッチ画像にも活用しやすいだろう。現に、SNSでも4コマ漫画やバナーでの活用を模索するようなユーザーも多く見られる。昨今では広告・デザイン領域でのAI活用事例はもはや珍しくなくなってきた。Nano Banana Proによってこの流れがさらに加速するか、今後が見物だ。

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