米Anthropicは1月11日(現地時間)、医療およびライフサイエンス分野に向けた「Claude」の提供内容を拡充したと発表した。医療機関、医療保険会社、研究機関などでの利用を想定し、規制対応や専門業務に適した機能や接続先を整備したのが特徴だ。最新モデル「Claude Opus 4.5」を基盤としている。
医療期間向けには、米保健福祉省(HHS)の「HIPAA」(医療情報の携帯性と責任に関する保護法)に準拠した環境で利用できる「Claude for Healthcare」を提供する。レセプト(診療報酬明細書)業務や保険の事前承認申請といった管理業務を支援するほか、米国の医療コード体系や公的データベース、医学文献などに直接接続し、関連情報の検索や文書作成を効率化する。
個人ユーザー向けには、米Appleの「ヘルスケア」や米Googleの「ヘルスコネクト」などの他社のプラットフォームとの連携機能をβ版として提供する。ユーザーが自身の医療記録や検査結果を理解し、受診前の準備に役立てられるようにする。なお、共有された医療データはモデルの学習には使用しないとしている。
ライフサイエンス分野では、創薬から規制当局への申請までを支援する「Claude for Life Sciences」を展開する。臨床試験の設計や運営、規制当局向け文書の作成支援に加え、米国立衛生研究所(NIH)が運営する臨床試験の公開データベース「ClinicalTrials.gov」や、ライフサイエンス分野の研究成果を対象とした査読前論文公開サイト「bioRxiv」などの研究リソースと連携し、研究者が必要とする情報へのアクセスを容易にする。これにより、研究開発プロセス全体の効率化を図る狙いだ。
これらの機能を支える基盤として、Anthropicは「Agent Skills」と呼ぶ仕組みを提供する。特定の業務や分野に必要な指示、テンプレート、ツール接続を「スキル」としてモジュール化したものだ。
Claudeはこの仕組みにより、タスクに応じて必要なデータのみを段階的に読み込むことが可能になる。これにより、膨大な専門知識をすべてコンテキストに詰め込む必要がなくなり、トークン消費や計算リソースを節約しながら、複雑な専門タスクを高い精度で遂行できるという。
これらの新機能は、米国でClaude Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランで提供していく。
生成AIの医療分野への展開を巡っては、直近では米OpenAIも「OpenAI for Healthcare」を発表したばかりだ。
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