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スパムが再び増勢に――Google Postiniチームが報告

» 2009年01月28日 16時18分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 SaaS型セキュリティサービスを提供する米Google傘下のPostiniが、2008年のスパム追跡リポートを発表した。スパム発信元として悪名をはせたMcColoのインターネット接続が遮断されたにもかかわらず、スパムは再び増加に転じていると指摘している。Googleは、2009年もスパム業者が偽のニュースリンクや荷物配送状況通知などを使って、ユーザーをだまして食い物にしようとするだろうと予想している。

 世界のスパム全体の4分の3にかかわっていたといわれるWebホスティングネットワークのMcColoが2008年11月、稼働停止に追い込まれたとき、多くの人がこの一撃により、スパムの流通量が激減するだろうと予想した。

 実際、スパムは一気に70%も減少したが、今では急速に盛り返している。あなたが受信箱に届いたバイアグラの安売り案内を削除するより速くだ。それほど大変な状況になっている。

 Googleは、傘下のPostini Message Securityネットワークが1日20億件に上るビジネス電子メール送信をチェックし、スパムを監視しており、同社によると、スパムの量は2008年11月と比べて156%増加している。

 しかも、スパムの総量は、スパム業者が新たな配信チャンネルを見つければ、数カ月以内にMcColoの稼働停止以前の水準に戻るだろうと、Google Message Security Teamのアマンダ・クレハ氏は述べた。

 これはスパムの増加基調を反映している。Googleの報告によると、McColoの稼働停止にもかかわらず、2008年のスパム量は前年比で25%増えており、スパム対策をしていないユーザーが2008年に受信したスパムは平均4万5000通で、2007年の3万6000通を大幅に上回った。

 では、2009年はどうなるのか。スパムはますます猛威を振るいそうだ。GoogleのPostiniチームは、一段と多くのウイルスが電子メールやWebでばらまかれ、スパムの大部分が、UPSの荷物配送状況通知のような正規のメールを装ったり、請求メールの体裁を取ってウイルスを添付するなどして、ユーザーをだまそうとすると予想している。

 2008年には、ユーザーに偽のニュース速報を送りつけ、ウイルスを配布するWebサイトへのURLリンクをクリックさせる手口も見られた。CNNのメールを装ったウイルスが代表例だ。クレハ氏はこう付け加えた。

 われわれはまた、ウイルスとマルウェアは今後も、スパム業者がプラットフォームをアップグレードする上での重要ツールであり、かつ重点領域だろうと見ている。年初からこれまでのウイルス添付メールの量は少ないとはいえ、われわれは、スパム業者がMcColoの稼働停止のダメージを克服するため、配信ネットワークの再構築に躍起になるだろうと予想している。もちろん、2009年について本当に確実に言えることは、スパムとウイルスは相変わらず予測不能だろうということだ。

 スパムはなくなることなく、長期にわたって残っていきそうだ。ユーザーにとって重要なのは、警戒を怠らず、不審なURLをクリックしないこと、さらに何よりも、送信者が信頼できることが確認されている場合以外は、添付ファイルを開かないことだ。

 奇妙なことにGoogleは、FacebookやMySpaceといったソーシャルネットワークを狙うウイルスやスパムについては言及しなかった。ソーシャルネットワークも、無防備なユーザーをだますウイルスやワーム、ソーシャルエンジニアリング攻撃の脅威にさらされている。

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