連載
» 2007年04月13日 12時51分 公開

仕事の中断をうまく活かすには?【解決編】シゴトハック研究所

電話や同僚、部下からの質問で、作業が中断して集中力が途切れるという経験は、誰しもがあることでしょう。仕事の中断を避けるだけでなく、中断をうまく生かす方法も考えましょう。

[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題

 仕事の中断をうまく活かすには?

 コツ:「集中タイム」を同期させる


 同じ仕事でも、一定時間集中して取り組むことができた場合と、小刻みに中断が入った場合とでは効率が異なります。せっかく集中して取り組んでいても、途中で話しかけられたり、電話に対応したりといった中断があると、元の作業に戻る際に何をやっていたかを思い出すという手間と時間が発生するからです。

 この問題については、以前も「作業を中断させない「長篠メソッド」【理論編】」(2006年10月5日の記事参照)で取り上げました。この記事では、「長篠メソッド」という方法をご紹介しましたが、ポイントは以下の3つの状況(モード)を意識し、それぞれのモードに適した仕事を行うようにスケジュールを立てることです。

  1. 弾を撃つ時(=仕事に取り組んでいる時)
  2. 弾を込める時(=仕事の段取りを考えている時)
  3. 鉄砲から離れている時(=仕事から離れている時)

 さらに、「頭の中をカラにして、状況把握はすべてタスクリストに任せる」ようにすることで、再開までのもたつきを抑えるという方法もご紹介しています。

 とは言え、今回の【問題編】のように、教育担当として「質問を受ける」という断続的な中断が避けられないシチュエーションもあるでしょう。つまり、自分で中断をコントロールするのが難しいような状況です。

 このような場合は、あらかじめ中断を前提としたスケジュールを作るようにします。

中断を前提としたスケジューリング

 中断させられると困る作業、すなわち中断してから復帰するまでに時間がかかる作業の特徴としては以下のようなものが考えられます。

  • 1つの作業単位が大きい(=一度始めるとなかなかキリがつかない)
  • じっくり考える必要がある(=中断が入るとどこまで考えたか分からなくなる)
  • ある程度まとまった時間が必要(=細切れの時間に少しずつ進めるのが難しい)

 具体例としては、以下のようなものがあります。

  • 思いついたアイデアを付箋に書き出していく作業
  • マインドマップを描く作業
  • 月間スケジュールを作る作業
  • 数ページにわたる文書を書く作業

 これらの作業は、ある程度まとまった時間枠の中で集中して取り組まなければ、効率よく進めるのは困難です。このタイプの作業を「集中処理タスク」と呼ぶことにします。

 一方、中断させられても比較的支障の少ない作業もあります。その特徴としては、

  • 1つの作業単位が小さい(=キリをつけるための時間が短い)
  • 中断後に再開するのが容易(=あまり頭を使わない単純作業)
  • 長い時間続けていると飽きてしまう作業(=時間とともに効率が落ちていく)

 具体例としては、以下のようなものがあります。

  • 事務的なメールの返信・電話連絡
  • 機械的なチェック作業
  • 交通費の精算
  • 伝票や書類の整理

 これらの作業の共通点は、1つ1つはさほど時間も手間もかからないものの、大量にため込んでしまうと取りかかりにくくなる、すなわち先送りをしたくなる、という点です。それゆえ、いつ中断が入るか分からないような状況では、「集中処理タスク」よりもこういった意識が分散していてもこなすことができる作業に取り組むほうが時間をうまく使うことができるでしょう。このタイプの作業を「分散処理タスク」と呼ぶことにします。

 中断を前提としたスケジュールとは、やるべきタスクを「集中処理タスク」と「分散処理タスク」とに意識的に区別して並べたものということになります。こうすることで、せっかく集中していたのに中断させられて「ムッ」とする、ということも少なくなるはずです。

「集中タイム」を同期させる

 これに加えて、中断そのものをある程度コントロールできれば、より確実でしょう。問題編のように断続的に質問をされるというシチュエーションでは、質問できる時間をあらかじめ決めてしまうのです。

 例えば、「今から1時間はとにかく自分で考えてみて」と指示を出し、不明点が見つかっても、すぐに質問をするのではなく、いったん内容を紙に書き出しておき、あとでまとめて質問してもらうようにします(もちろん、「それが分からなければ先に進められない」という疑問は、「自分で考える1時間」に入る前に解消しておく必要があります)。

 こうすることで、指示を出す側としては1時間の「集中タイム」が得られることになります。指示を受ける側としても、分からなくても1時間は何とか自分で考えることになるため、“答え”を教えてもらう前に、自力で“答え”にたどり着くことができるかもしれません。このように「自分で何とかして解決する」という成功体験からは、すべてを教えてもらうことよりも強い自信が得られることもあるでしょう(もしその解決方法に誤りがあれば、「質問タイム」で“軌道修正”できます)。

 加えて、このように時間を区切ることによって、指示を出す側・受ける側の双方に「締め切り効果」が生まれます。「(質問の来ない)この1時間の間に何としてもこの企画書の目鼻立ちをつけなければならない」ということになれば、がぜん集中力も高まるでしょう。

 教育専任担当としては、指導することだけに集中できる体制が理想ですが、OJT(On the Job Training)など業務と平行して行わなければならない状況も現実にはよくあることです。今回ご紹介したように時間の使い方における「オン」と「オフ」のメリハリを意図的に作ることで、悩ましい中断をうまく活かすことができるでしょう。

筆者:大橋悦夫

仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『「手帳ブログ」のススメ』がある。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ