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» 2007年04月20日 12時49分 公開

数年後の自分の仕事をイメージするには?【解決編】シゴトハック研究所

「自分のミッションは何か?」。悩んでしまわない程度に、自分を納得させておける答えを持っておきたいものです。そのためには、どんな方法を使えばいいでしょうか。

[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題

 数年後の自分の仕事をイメージするには?

 コツ:「ドシテ」と「ソレデ」で掘り下げる


 「数年後の自分はどんな仕事をしているか?」──この問いは、仕事を始めたばかりの新入社員、順調にキャリアを積み上げている中堅社員、あるいは会社を統べる経営者のいずれもが共通して突きつけられている課題といえるでしょう。つまり、自分の現在のキャリアステージに関わらず常につきまとう大きなテーマです。

 一方で、「目の前にある仕事は、本当に自分がやるべき仕事か?」という問いもまたあります。「そんなことを気にしている暇がないほど忙しい」、という場合もあるかもしれませんが、むしろ忙しければ忙しいほど、ふとした時に首をもたげる課題である、ともいえます。

 言い換えれば、やや大げさな言葉になりますが、「自分のミッションとは何か」です。これについて、立ち止まって悩んでしまわない程度に自分を納得させられる「答え」を、一時的なものであれ、常に持っておきたいものです。

自分の中に答えを求めるために

 自分が働く会社を決めるにあたって、業種や職種もさることながら、その会社に「一緒に働きたい」と思える人がいるかどうかは、重要なファクターになっていたのではないでしょうか。

 例えば、その会社の経営者の姿勢にあこがれたり、理想の働き方を実現している先輩がいたからこそ、最終的な判断が下せたのではないか、ということです。あるいは、「自分のミッション」の素になるような何かがそこに感じられた、ということもあるかもしれません。

 そして、「自分のミッション」そのものは自分の中にしかないものですから、これを引き出すために「あこがれ」や「理想」がカギになるといえます。

 とは言え、「自分のミッション」すなわち「自分はどんな仕事をしたいのか?」という課題に対する答えは、その時その時の状況に左右されることが多いため、「とりあえずの答え」にとどまるでしょう。それゆえ、定期的に見直して、常に最新の状態に保つことで、迷うことなく日々の仕事に邁進することができるはずです。

「ドシテ」と「ソレデ」で掘り下げる

 では、具体的にはどうすればよいでしょうか。

 【問題編】でのやり取りは、相手から「どうして?」「それで?」と質問してもらうことで、自分の中の答えを探っていました。実はこの質問方法には、「ドシテ君」「ソレデちゃん」という名前がつけられています。考案者は、「起-動線」を主催する堀内浩二氏で、「どうして?」と「それで?」の2つの問いを通して、本来の「ありたい自分」あるいは「自分のミッション」を見い出すことを目指しています。

 「ドシテ君」は、その名の通り「どうして?」という問いを投げかけ続けます。何を言っても「どうして?」しか返してこない男の子を想像してみてください。1つ答えても、その答えに対してさらに「どうして?」とかぶせてくるため、自然と自分の根源に迫っていくことができます。言い換えれば「そもそも自分は何をしたかったのか?」という過去に注意の“カーソル”が向かうのです。

 一方「ソレデちゃん」の方は、「それで?」と問い続ける女の子です。“彼女”は、常に「その先」を知りたがります。問われるままに「その先」を答えていくことによって、「そして自分はこれから何をしたいのか?」という未来に思いが及ぶことでしょう。

 以下は「ドシテ君」、「ソレデちゃん」それぞれとの対話の例です。

 まず、「ドシテ君」。

 「僕は探究心旺盛な研究者になりたいんです」

 「どうして?」

 「自分の価値は何かを探求する姿勢そのものにあり、自分自身の中にはないからですね」

 「どうして?」

 「人がやらないようなこと、もっといえば、人があまりやりたがらないことについて、自分はなぜか興味があったり好きだったりすることが多くて、そういうことをやる人というのは必要とされるであろうと思えるからかな」

 「どうして?」

 「必要とされることをやることが誰かの役に立つのはもちろん、それそのものが自分が生きる拠り所だから」

 「どうして?」

 「うーん、もう答えられない……」


 ここで「ソレデちゃん」に交代。

 「僕は探究心旺盛な研究者になりたいんです」

 「それで?」

 「名誉ではなく自分で本当に納得できる成果を目指したいんです」

 「それで?」

 「勝ち負けでは計れない何かを見つけたい」

 「それで?」

 「勝ち負けの感情に左右されない、ピュアな自分に近づくことができそう」

 「それで?」

 「さぁ、その後はどうなることやら……」


 この2人との対話の特徴は、「もうこれ以上答えられない」というところまで考え続けることができる点にあります。普段の状況ではここまで“問い詰められる”ことはほとんどないため、自分でも意外に思うような「答え」が飛び出すことがあります。

 改めて自分の行く末を問い直したいような場合、例えば、就職活動や転職活動において効果を発揮するはずです。そのような大きな岐路でなくとも、ふと思いついたときに軽く問い直してみることによって、惰性や忙しさに埋もれて見えなくなっていた「自分のミッション」を再発見する、ということもあるかもしれません。

 実際に行う際には、仲の良い友人と一緒にやるといいでしょう。相手に「ドシテ君」あるいは「ソレデちゃん」の役をお願いし、自分はひたすら答えていくようにするのです。一通り終わったら、交代します。

 あるいは、一人で行うこともできます。例えば、インスタントメッセンジャーを使って、心の中で「どうして?」「それで?」と自問しながら、思いつくことをどんどん入力していくのです(※)。

 日々の仕事に迷いや疑問を感じたら、「ドシテ君」と「ソレデちゃん」に相談してみるとよいでしょう。

※自分のアカウントとは別にダミーのアカウントを作り、そのアカウントに対してメッセージを送るようにします(詳細は、2006年8月31日の記事参照)。

筆者:大橋悦夫

仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『「手帳ブログ」のススメ』がある。


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