ソースネクストが「驚速 Vista」で売れると踏んだわけBiz.ID Weekly Top10

「驚速」といえば、十年近く前に見たCMが懐かしい。ムエタイ選手が「キョーソク! キョーソク!」と叫びながらトレーニングに励むやつである。あの驚速が、久々に特定のOSをターゲットにして帰ってきた理由を探る。

» 2007年12月03日 20時19分 公開
[鷹木創,ITmedia]

 今回のアクセスランキング、「ホワイトボードを自作する」という記事が首位を飾った。いつもホワイトボードを持ち歩いているという、いいめもプロジェクトの古川さんらしい記事で、多くの賛同者を集めたようだ。

 アクセスランキングとはまったく関係ないが、先週筆者はとあることが気になった。それは11月30日、ソースネクストから「驚速」シリーズの最新版「驚速 for Windows Vista」が発売になったことだ。

 驚速というと、1999年〜2002年にかけて放映したムエタイ選手のトレーニングをモチーフにしたCMが懐かしい。ムエタイ選手が「キョーソク! キョーソク!」と叫びながらトレーナーにパンチを打ち込む、アレである。驚速というソフトそのものというより、あのCMのイメージを強烈に覚えているのである。実は2005年にも少しの間、ムエタイ編のCMが復活したこともあったが、このときはあまり印象に残っていない。

同じムエタイ編のCMだが、こちらはソースネクスト「特打」シリーズ

 ソースネクストによると、驚速が一番売れたのはWindows 98を対象にした「驚速98」のころだという。その後、Windows 2000/Me/XPと新しいOSが出るたびに、驚速も驚速2000/Me/XPとバージョンアップ。時期的には、ちょうどムエタイ編のCMとかぶるころだ。

 ところが「驚速XP」以降は、特定のOSをターゲットにした販売戦略を改める。回線速度の向上をうたう「驚速ADSL/CATV/FTTH」が出たのは2002年ころ。翌2003年、2004年と回線の違いをターゲットにした製品のバージョンアップを進めた。

 これはもちろんWindows XP以降、新しいWindows OSがなかったことが要因。さらにWindows XPの普及とともにPC性能が向上し、「特定のOSをターゲットにする必用がなくなったため」(ソースネクスト)も原因だと分析する。PCの速度に不満がなくなったユーザーは、回線速度に不満を覚えた。だからこそ驚速も、普及期にあったブロードバンドのスピード向上にターゲットを移したわけだ。

 その後、回線速度やPCの各機能をチューニングする「驚速パソコン」などの製品も発売されたが、以前のような売れ行きは達成できなかったという。PCの速度も十分に速いし、ブロードバンド回線が普及した結果、「驚速」というソフト自体の役割も終えるのかもしれない……と、思っていたら、2007年になって特定のOSをターゲットに驚速が復活したのだ。

 それが冒頭にあげた「驚速 for Windows Vista」である。これまでWindows XPが快適に動作していたPCだとしても、Windows Vistaが快適に動作するかどうかは分からない。新製品であっても性能の劣るPCであれば、驚速の役割が求められる、と踏んだ。

 驚速 for Windows Vistaはまだ発売されたばかりだが、驚速98のころのように売れまくるとしたら、個人的には複雑な気持ち。PCの進化って、どういうことなのだろうか。

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