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» 2008年04月01日 00時12分 公開

つい口に出る「微妙」な日本語:第9回 「えーっと……えーっと……」――ちゃんと準備してこい!

言いたくて言っているわけではないのでしょうが「えーっと」「あー」「うー」「まあ、その」などが多いプレゼンは、大変に聞き苦しいものです。プレゼンの下手さは、報告される内容そのものの評価につながりかねません。ご注意。

[濱田秀彦,ITmedia]

「それでは、弊社の提案をご紹介いたします。えーっと、まずはこれまでの実績についてお話しします、えーっとですねえ、ん? 少々お待ちください。えーっと。あ、まず企画の背景が先です。失礼しました。えーっとですねえ……」



   出現度……★★★★
   不快度……★★★★★

 ちゃんと準備をしてこい! と、灰皿が飛んできそうですね。「えー」「えーっと」「あのー」などの言い回しは言語学で「フィラー」と呼ばれます。

 つなぎのために使われる意味のない表現ですから、わざわざ使いたくて使う人はいないでしょう。

 思わず言ってしまうのだから仕方ないのですが、やっぱり聞き苦しいです。「えーっとですね」と「です」を付けたところで、丁寧になるはずもありません。

 私のプレゼン研修に来る人の中にも、「どうしても『えーっと』と言ってしまうので何とかしたい」という方が数多くいます。「えーっと」の多いプレゼンはメリハリがなく、間延びした感じになり、聞く側が集中できません。肝心の内容が印象に残らなくなりますから、結局話す側も損です。それがうすうすわかっているからこそ悩むのでしょう。

 「えーっと」が出てしまう原因は「沈黙への恐れ」です。言葉と言葉のあいだの空白を埋めるため、無意識のうちに「えーっと」が出てしまうのです。

 沈黙の時間が多くなる原因は準備不足。人前で話すとき、事前の準備が十分でないと、言うべきことを忘れてしまったり、過度に緊張して、思わぬ空白が空いてしまうことが多くなります。

 そうならないためには、リハーサルが欠かせません。誰かに聴衆役になってもらってやるのが一番いいのですが、壁に向かってしゃべるだけでも効果はあります。

 しかし、いくら万全に準備を整えたところで、言葉を切らずに話すのは困難ですから、そこに、必ず沈黙は生まれます。沈黙は場に緊張をもたらし、それを「えーっと」で埋めてしまうのです。本来、沈黙から生まれる緊張感は話術にとって欠かせない「間」となるものです。「間」は聴き手を集中させ、相手に考える時間を与え、内容を理解させるために有効ですから、恐れるのではなく、うまく使いこなすべきです。

 「えーっと」が多くなる人は、沈黙状態からポンと言葉を出すのに慣れていないのです。第一段階は、沈黙とお友達になりましょう。大切なことを言ったあと、問いかけをしたあとに意識して間を入れるようにしてみてください。第二段階は、原稿通り一字一句正確に話すことです。原稿には「えーっと」はありません。もちろん、原稿棒読みでは聴き手は飽きますので、原稿を見ずにできるようにします。

 こうして、慣れていけば「えーっと」を取ることができます。私も昔はよく会話の中に「えーっと」が出たものですが、今は消えました。ちょっとした心がけで「えーっと」は必ず克服できます。心当たりのある方は、やってみてください。

肝に銘じよ!

「えーっと」で ええわけないよ 直そうよ


筆者:濱田秀彦(はまだ ひでひこ)

ヒューマンテック代表取締役。1960年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業。住宅リフォーム会社に就職し、最年少支店長を経て大手人材開発会社に転職。トップ営業マンとして活躍する一方で社員教育のノウハウを習得する。1999年に独立。現在はコミュニケーション研修講師として、プレゼンテーション、話し方、マネジメントなどの分野で年間100回以上の講演を行っている。また、Webサイトのプロデュース、システム開発も手がける。著書には『ビジネス快話力』(主婦と生活社)、『みんなのパワーポイント企画・構成・話し方』(エクスナレッジ)などがある。


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