未来が見えない――「考えすぎてうつ」をどう克服する?なぜ陥る? 「うつ」のメカニズム(3/3 ページ)

» 2008年08月22日 15時40分 公開
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不安の正体は「漠然」 最悪に備え「具体」策を

 対処法はさまざまな方法があり、これだけというわけではありませんが、1度ちゃんと事実を全部洗い出して整理するといいでしょう。

 例えば、お金に対する心配だとしたら、今のペースで貯金をしたら、いつまでにどれくらいになるのか、何歳くらいで家を建てる、何歳くらいで結婚するなど、人生設計を立てましょう。そして、その時に考え得る最悪の状態を予測し、それにどう対応できるかを考えてください。

 最悪の状態に対し、どう対応できるかを考えることができたら、実は不安でなくなります。漠然と心配しているからダメなんですね。

 実際、こういう例があります。

 アトピー性皮膚炎の女の子で、高校を出て、来週からバイトでウェイトレスをやるんだけど、すごく心配だと言います。何が心配かというと、仕事している時、身体中にアトピーが出たらどうしようと心配しているんです。接客商売なので、症状が出るとお客さんに悪いと心配しています。

 そこで私は、もし、アトピーが出て最悪の状態になったらどうなるか想像してもらいました。彼女は「お客さんからクレームがきて、店長に、お客さんの前には出ないでくれと言われて、最悪、辞めさせられる」と言います。そうなったらどうなるか聞くと、「辞めさせられたら、またアルバイト情報誌を買って、バイトできるところを探す。たぶん、ウェイトレスならあるだろうから」と。その時、「あ、そうか。辞めさせられたら、また探せばいいんですね」ということで、彼女はラクになったんです。

 仕事や人生に不安を感じているビジネスパーソンでも、例えば「仕事を辞めても失業保険をもらって、自分にはこの技術があるから、最低でもこれくらいの収入の会社に転職できる。そして、最悪の場合は買った車を売ってしまって、夫婦共働きすれば、まあ、ローンは返せるかな。最悪、ローンは返せる。じゃあ、そんなに心配することはないよね」と思った瞬間にラクになります。大体の人が、最悪の場面をすべて想定していないし、それの対処法を考えていないから不安になるわけです。

 なお、最悪の状態とその対処法を考えても安心できない人、また、最悪のパターンになってしまって対処法が見つからず、余計落ち込んだりした場合は、専門家のちゃんとした治療が必要です。


 次回は、無意識的な目的からうつや不安になるパターンと、その対処法についてお話しします。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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